応援コメント

5 ロイドという、少年」への応援コメント

  • この度は『自作品への意見や提案がほしい方へ』企画にご参加いただき、ありがとうございました。主催者の島流しにされた男爵イモです。

    作品の方は、一万五千字ほど拝読致しました。
    作者様が以前のペンネームを使われていた際に拝読した作品でしたが、当時よりは格段に内容や文章のクオリティが向上したように思います。内容に関しては伏線や小話の出し方が自然になっており、文章にも目立った瑕疵はありませんでした。比較的読みやすいファンタジー小説といったイメージです。依然としていくつか気になる部分はあるものの、些末事に過ぎません。一般の読者からすれば、許容範囲だと思います。

    では、続いては気になった点を。大まかに分けて二つです。
    一つは世界観の説明について。これは以前の批評でも触れましたが、やはり大雑把な雰囲気が否めません。直近の近況ノートも拝読しましたが、作者様は作品の内容を切り詰めすぎるきらいがあるのかもしれません。それによって、作中世界の解像度が粗くなっているのではと思います。あるいは、伏線として温存しすぎなのかもしれません。一つ、例を挙げます。たとえば第1話の文章に「〝水の乙女〟が守護するこの国では」とありますが、「守護」の具体性や「なにから守るのか」という部分が不透明です。この一文自体が伏線と考えられる一方、「結局、どんな世界観なのだろう」という疑問が強くなります。同じ抽象的な説明であっても「〝水の乙女〟の加護により、理外の存在の脅威を免れているこの国では」という文の方が、世界観の説明に説得力が生まれるのではないでしょうか。

    もう一つは文章表現について。理路整然とした文章が続く中で、人物名が頻繁に登場するのが気になりました。一部、文章を抜粋して説明します。

    第1話より抜粋:ニコラは御者の言葉に思わずゴクリと唾を飲み込んだ。しんと静まり返った空間にニコラの喉がなる音が響く。

    二文目の「ニコラ」は不要です。文脈から、誰の動作か読み取れますので。類似する表現は作中で散見されました。こうした人物名の重複は文章を嵩張らせてしまいますので、不要と感じた部分は適宜取り除いていただければと思います。

    以上になります。
    作者様の創作活動の一助となれば幸いです。