かい主とおれ

原田 冬

第1話

いぜんにもいったことだがいっておくよぼうちゅうしゃはこれきりでよい


わんわんと人の子がよぶわんわんはすこぶるおれににているらしい


母おやはおぼえていない父おやはたしか名まえはうまのほねとか


いしをもちふっているのかこのおれはおれじしんでもつかめぬしっぽ


へいの上のらねこ二ひきふうふともむかんけいとも見えるものだな


かい主に犬にうんこをさせるなとなぜいうおれのいしでしている


夕ぐれの公えん一人かい主はぶらんこをこぐけっこうとばす


公えんのすみにほる穴もくてきはたしかにあったほるまえまでは


がいろじゅのおとしたたねのかずだけのめが出ないのはなぜだかい主


しゃんぷーがつぎつぎうばうにおいたちおれはおれではなくなってゆく


よういだがじゅうようらしいかい主の手にまえ足をのせるぎしきは


かい主がどっぐふーどをあじみしてびみょうなかおでさし出してくる


ぎゃくなのか人のりせいとやせいとはおれのやせいは犬のりせいだ


ほのぐらいよるの入り口ほそい月ふしぎなきもち犬もおちいる


どこからかひびくとおぼえおれの耳かってにうごくたがいに犬だ


ろけっとにおれはのらないここへでもほしがながれるおとならとどく


うみはまだしらないのだがゆめで見たしらないのだがうみとわかった


空じゅうがくものあさにはかい主がきづかぬていどせんちめんたる


あめがふるそうつたえたがかい主はあたまをなでてかさももたずに


さるだったおおかみだったかい主とおれそれぞれが先をしらない


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かい主とおれ 原田 冬 @haradafuyu2

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