『One-Sided Game』×『砂時計の王子』
砂状の楼閣 《前編》
【character select】
まこちー作『砂時計の王子』よりアレスト・エル・レアンドロ(現代パロディ設定)
https://kakuyomu.jp/works/16816700426446685754
『One-Sided Game』より参宮拓三、安藤モア(アンゴルモア)、おばあさま(四方谷小百合)
https://kakuyomu.jp/works/16817330649620464506
【time stamp】
『One-Sided Game』第25話の後
【START】
おばあさまの古くからの知り合いにこの
説明を受けたモアは、咥えていたアイスキャンデーを一旦戻して「いいぞ!」と言っていた。
異性が増えることに対してノーガードすぎじゃあないか?
と、いうわけでその日が来た。
リビングで向かい合わせになる俺たちと、来客。
「
デカい。
安堂くん――でいいのかな。その隣に立っているのがおばあさまだから、よりデカく見えんのかもしれねェけど。デカい。
いや、身長は俺のほうがある。だが、やはり水泳部というだけあって、肩幅がすごい。かの『超気持ちいい』で有名になったメダリストのような逆三角形の筋肉。タックルされたらひとたまりもない。競泳ではタックルしないけど。別のレーンで泳いでいる選手にタックルする選手、選手としてというか人としてダメだろ。
背中もさることながら、その胸筋は弐瓶教授のバストぐらいありそうだった。男でも胸ってデカくなるんだな。ボディビルダーとかそっち方面の選手とかこんな感じか。東京オリンピックで使用されるような会場で行われる水泳大会に出る人は違うな……。
俺が雰囲気に圧倒されていると、俺に差し出された右手をモアが両手で包み込むように握って「我は安藤もあだぞ! 同じ苗字!」とニッコニコで応じる。
「ホント? アンドウつながりか。これを機に漢字も同じにしちまうか?」
安堂くんはググッとモアに顔を近づけた。
その気になればキスできそうなぐらいに。
「我は将来的に参宮モアになるから、安堂にはならないぞ!」
参宮の部分を強めに主張して、モアのほうから手をさっと離して距離を取る。口をへの字にしているから、あんまりいい印象は抱かなかったっぽい。それもそうか。このままキスされたら、体格差はあってもこの俺の――モアの彼氏? っていう立場上黙って見ているわけにはいかない。追い出す方向性でいかせてもらうところだった。鳥取では出会い頭に女を口説く文化でもあるのか?
「マジ? 待てよ、……この家はヨ、……ヨット? ヨットさん家だと聞いていたが」
「
「くっくく……すまないねぇ。人の名前を覚えるのが苦手なんだ。あんたが参宮さんか?」
今度は俺に向き直って、俺の下顎を撫でてきた。うわ、こわ。何。こわ。びっくりして飛び退く。
「ギャハハ! 取って食おうとしてるんじゃないぜ! これは俺なりのコミュニケーションってやつだ。だからそんなに怖がらないでくれよ!」
おばあさまァ……俺この人無理かもしれないです……だいぶヤバいです……。
助けを求めて視線を合わせると、おばあさまは「仲良くなれそうね!」と俺の思ってるのと真逆の感想を言ってのけた。嘘だろ。俺の耳がおかしくなったんじゃあないかな。
「悪い男ではなさそうだぞ」
何を根拠にそう思ったのか、モアは俺に耳打ちしてくる。
親密度マイナスから始まってるけど?
「我はその、アキトのプール部というのが気になる!」
「水泳部だぜ?」
「プールで泳ぐのだからプール部なのではないのか?」
「そう? 海では泳がないから、それでもいいか。細かいことは気にしないぜ」
モアは打ち解けるのが早くていいな。俺はこの期間中に仲良くなれるか怪しいけど。一時的なもんだから仲良くならなくてもいいか。この期間中俺だけどっかに泊まろうかな。でもまたモアに、
「気になるんなら、俺があんたに二人きりで泳ぎを教えてやってもいいんだぜ?」
ほらこういうこと言う!
「おお! 選手から直接教えてもらえるのか!」
おお! じゃないよモア。断ってくれ。マジで断れ。なんでノリノリっぽいんだよ。断れ!
「そ、その、我がアキトの練習時間を奪うのは、よくないと思うぞ!」
「そう?」
「うむ! 鳥取からはるばる来ているのだから、全力を出してほしいぞ!」
「……まあ、そうだな。優勝後のお楽しみとしておこう」
今ちらっとこっち見たな。
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