第3話 繋がりが愛しい、絆が愛しい

「ねぇあなた、あの子の手がかりは見つかったかしら?」


アレックス母30歳、アレックス父に聞く。

アレックス父・エーンはフッと笑った。


「すみません。魔族の元にいることしか分かりません。」


アレックス母はフフフっと笑った。

もう定番の会話である。


「あのですね、マリー」


そして汗を垂らしてアレックス父は言う。


「現在、あちらもこちらと同じ狙いがある様子でございます。」

「アレックを連れさられぬよう、万全の体制を整えることが最優先かと存じます。」


俗にそれを誘拐という。


「しかし、あの子を保護することも最重要事項でございますゆえ、捜索も同時進行いたします。」

「ええ、そうね。アレックのことは任せてちょうだい。」


夫婦は穏便に我が子との幸福な生活を目指します。


…・…・…


「ねぇあなた?いったいいつになったらあの子と会えるのかしら」


ビクター母・30歳、ビクターたちに聞く。

ビクター父はフッと笑った。


「すみません。人間の元にいることしか分かりません。」


ビクター母は「へえ、そうなの」と笑った。

もう定番の会話である。


「あのですね、バリー」


そして、体を震わせビクター父は言う。


「現在、あちらもこちらと同じ狙いがあるのではないかと考えられます。」

「ビクターを奪われぬよう迎撃体制をとることが最優先かと存じます。」


俗にそれを魔族総攻撃と言う。


「しかしながら、あの子を保護することも最重要事項でありますから、交渉を開始したく存じます。」

「ええ、そうね。ビクターのことは任せてちょうだい。微々たるミスも許されないわよ。」

夫婦は過激に我が子との幸福な生活を目指します。

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魔王は勇者に勇者は魔王に 灰雪あられ @haiyukiarare

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