第2話 あっても可愛いなくても可愛い

「お母様、私にはなぜツノが生えているのでしょうか?」


アレックス少年12歳、母に聞く。

母・マリーはフッと笑った。


「それはね、特別可愛い印なのよ」


アレックス少年はクフフツと笑った。

もう定番の会話である。 


「いい?アレック」


そして何度も母は言う。


「姿形なんて変えられるのよ」

「大切なのはどんな貴方であるかよりもどんな貴方でいたいかよ」


俗に彼を魔族という。


「でも姿形だって大切だから、シャツはしまっときましょうね」

「ええ、そうですね」


アレックス少年はシャツをズボンにしっかりしまい、山菜の採取に出かけた。


…………


「母さん、僕にはなんでツノないの?」


ビクター少年12歳、母に聞く。

母・バリーはイヤっと叫んだ。


「ビ・ク・ター!今度は誰のツノ取ってきたの⁈」


ビクター少年はンフフッと笑う。

もう定番の会話である。


「いい?ビクター」


そして何度も母は言う。


「ツノがあってもなくても生きてけるのよ」

「他人のツノを折ってくる方が問題よ」


俗にそれを強盗と言う。


「でももったいないからカチューシャにしてあげましょう」

「やったー!」


ビクター少年は嬉々として母の後を歩いて行った。


※ビクター少年はツノが生え変わる魔族、そして生え変わりの時期を狙って犯行におよんでいます。

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