たなごころ

酒井春棋

たなごころ

シャボン玉ぽぽぽぽぽぽと生まれをり

潔きはらひ残せり卒業展

大朝寝こんなに空はみづいろで

囀をいざ旅立ちの合図とす

さゝくれしこゝろ駆け出す花見かな

青空の透度求めよ花は葉に

若葉雨恋の濃度を測定す

さよならの数だけ分岐夏野行く

キーパーの背中に矜持南風

夜の舌をトゥるんと駆けるライチかな

かぶれたる額おほきく桃を食む

恐るべき厚き角煮ぞ秋高し

人知れず手入れされたる花野かな

彼方とは滑空の先雁渡る

拙さも人柄のうち室の花

手袋をはめて内緒の話かな

おみくじを見合ふ北風構はずに

ジェラシーを白息に変へ歩みけり

人の字は祈りにも似て初詣

貝寄風や貝は二つのたなごころ

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たなごころ 酒井春棋 @haruki55

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