学園1年生編

第3話 どうきょ人

 ボクのきょうりょくしゃとなったフラムとこうちゃについてかたり合っていると、いつのまにか学園についていました。まどの外を見ると、とてもりっぱでごうかなたてものがたっていました。ぜんたい的にしろっぽいかんじのたてもので、ボクの家よりもとても大きいです。

 じょうききかんしゃからおりてそのたてものを見ていると、くろいローブをきた男の人がやってきました。ローブはボクたちがきている「セイフク」とにているデザインで、セイフクと同じようにきんいろの糸がたっぷりとつかわれたバラのししゅうがとてもきれいです。


「新入生はこちらに! 私の後ろに並んで着いてきてください!」


 男の人はどうやら学園のせんせいだったようです。目をかっとつりあげていて、とてもきびしそうです。あの人はおこったらこわそうなので、おこられないようにしなければと思いました。


「そういえばネージュ、貴方のスキルは何なのかしら?」


 おこられないようにしようと決めたつぎのしゅんかんにフラムに話しかけられました。小声でこっそりならいいか、と思ってこたえました。


「ボクのスキルは「白雪氷晶しらゆきひょうしょう」です。雪をふらせたりあやつったりできます」

「あら、随分と綺麗なスキルね。わたくしのスキルは「狂焔心火きょうえんしんか」ですわ。炎を生み出し操るスキルよ」

「とってもごうかなスキルですね! こんどボクに見せてくれませんか?」

「ええ、勿論!」


 たくさん話しすぎるとおこられてしまうので、そこからは学園の中を見ることにしゅうちゅうすることにしました。

 とても大きくてキラキラときれいなシャンデリア、かべやゆかがぜんたい的にしろいことでそのうつくしさがきょうちょうされるレッドカーペット。家とはおおちがいでとてもわくわくしました。

 けっこうなキョリをあるいて、ようやく先生が足をとめてこちらをふりかえりました。


「ここが今日から皆さんが生活する寮です。皆さんがこの学園の生徒である限り、皆さんの家はここです。部屋の前にはネームプレートがありますので、自分の名前のプレートがある部屋が各々の部屋です。1部屋に2人ずつなので、仲良くするように! 男子寮は左手の扉、女子寮は右手の扉です。自分の部屋に荷物を置いたらその後は六の刻まで自由時間です! 寮の中を散策するも良し、友人を作るも良し……六の刻から食堂に移動して食事をしますので、遅れないようにしてください!」


 せんせいに言われて左のトビラの前に1列に並び、ボクのじゅんばんが来たので中に入りました。

 すると、中にはとても広い部屋がありました。ここは「だんわしつ」らしいです。かべもゆかも学園の校舎と同じであたたかいしろでとういつされていますが、大きくてきれいな絵やおちついたあかいろのおしゃれなカーペット、ふかふかでやわらかい革のソファやとてもてざわりのいいクッションなど、おちついてすごすことができるようにと考えられている部屋なのだろうと思いました。

 だんわしつを出て、ボクの部屋をさがします。ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ…………ありました。ボクの名前、「ネージュ・アメティスト」と書かれたプレートがかけられています。

 ボクと同じ部屋の人の名前は「エクレール・オニクス」という名前のようです。ボクはかしこいので知っています。「オニクス」という名前はやみのまじゅつの名家だったはずです。

 ですが友だちになるのに家のことはかんけいありません。どんな人なんだろう、と思いながら部屋のトビラをひらきました。

 そこにいたのは、ひまわりいろのかみとカラスよりもまっくろな目をもったかっこいい男の子でした。まえがみを目がかくれるくらいの長さで切りそろえていて、左がわのまえがみは耳にかけて目が見えるようにしています。右目は見えているのでしょうか。左耳にはきんのじゅうじかのイヤリングをつけていて、とてもにあっています。


「おい、お前! アメティスト家の天才ムスコだろ! おれの家のことはとうぜん知ってるよな?」

「もちろんです! ボクはかしこいので! オニクス家はやみのまじゅつの名家ですよね?」

「せいかいだ! しっかりと分かっているようだな、ごうかくだ。お前、おれの友だちになれ!」


 とってもえらそうなことばづかいですが、わるい人ではないのは分かります。こういうボクのはあたるのです。


「いいですよ! 今から君とボクは友だちです! なのでいったんジコショウカイしませんか?」

「ジコショウカイ? なんでだよ、オニクス家は知ってるんだろ?」

「ボクはかしこいのでとうぜんオニクス家のことは知っていますが、君の好きなものやきらいなことはなにも知りません! なのでジコショウカイしましょう!」


 なにごともあいてを知ることがまずだいじです。


「む、……それも、そうか。おれはエクレール・オニクス! イダイなるオニクス家のじなんだ。 スキルは「稲妻雷光いなずまらいこう」、好きなたべものはクッキーとおにくだ!」

「ボクはネージュ・アメティストです! スキルは「白雪氷晶しらゆきひょうしょう」、好きな食べものはクッキーとしろいパンです!」


 エクレールもクッキーが好きらしいです! ボクと同じです! 


「……! お前もクッキー好きなのか! おちゃかいは好きか?」

「おちゃかいも好きです! こうちゃは王道のダージリンが1番好きです!」

「ダージリンいいよな! おれもダージリンが1番好きだ! おれはファーストフラッシュが好きなんだが、お前はどれが好きなんだ?」

「ボクはセカンドフラッシュが好きです!」

「セカンドフラッシュもいいよな……スコーンにつけるジャムは……」

「すごーくよく分かりますぅ……。ボクは……」




 ついつい長く語りあってしまいました。とても楽しかったです。こんどいっしょにおちゃかいをするやくそくもしました。とても楽しみです。


「そうだ、ネージュ。いっしょにりょうの中をたんけんしないか? 六の刻まではあと一回りあるし、こうぞうはしておいたほうがいいだろ?」

「いいですよ! まずはどこに行きますか?」


 エクレールとりょうの中をたんけんすることになりました! わくわくです。


「まずこのちずにしたがって右に行ってみよう。そうしたらだいよくじょうおふろときょうようトイレがあるはずだ。よし行くぞネージュ隊員!」

「しょうちしました隊長!」


 はんいはせまいけれど、楽しいぼうけんのはじまりです! 







 ちずを見ながら気になるところをたんけんしていると、エクレールがなにか思い出したようなかおをして言いました。


「そういえば、兄上からきいたんだが上のがくねんにてんにゅうせいが来たらしいぞ。ファミリーネーム苗字もないからへいみんだろうって言ってたけど、どんなやつなんだろうな」


 へいみんもまじゅつをつかうことはできますが、きぞくほどのいりょくは出ません。それでも学園に入れるほどの力をもっているということは、よほどのとつぜんへんいがおきたのでしょう。


「すごい人なんでしょうね! 目のいろはなにいろなんでしょうか」

「分からないけど、へいみんならにちじょうせいかつでつかうことのおおい水、ほのお、かぜ、しょくぶつあたりかまじゅつのぼうそうだと分かりやすいげんえい、やみ、ひかり、みりょうのどれかじゃないか? …………気になるならたしかめに行くか?」

「え? たしかめられるんですか?」

「……じつはこことじょうきゅうせいのりょうはつながってるんだ。兄上からばしょもおしえてもらったし、のこりじかんもあと半回りくらいだ。行こうと思えば行ける」


 そう言ってわるそうに笑うエクレールの目は、こうきしんでかがやいていました。エクレールもたしかめたくてしかたがないようです。


「……では行ってみましょうか! 隊長! みちあんないはよろしくおねがいしますよ!」

「もちろんだネージュ隊員! いざゆかん!」


 じょうきゅうせいのりょうへレッツゴー!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る