ポストアポカリプスです。人の居なくなった世界で、届け主も届け先もない郵便屋は「白スーツの異世界人」に依頼され、真っ赤なバイク「ミーティア」で荒野を疾走!ハードボイルドです。アクションもあります。そして切ない結末。4000未満の短編の中に、展開と物語がしっかりと構成がつまっています。
「郵便屋の仕事はいつもそうだった。届けるものはなく、届ける相手はもういない。」なんてハードボイルド。何もない世界で、意味さえないかもしれない仕事を、郵便屋は淡々とこなす。それがきっと彼に残された意味。またひとつ、動くものがこの世界からいなくなっても、郵便屋は走り続ける。真っ赤なミーティアに跨って。
最初から最後まで好みドンピシャでヤバかったです。主張させる色彩の絞り込み具合が特に好きでした。白いスーツと赤いミーティア。香りからの記憶の引き出しという感覚的な部分でうったえかけるのが人間らしくてほろりとなりました。ロボさんのしゃべり方もとても好きです。先の見えないこの世界の中で、それでもまだ世界は続いてゆくのでしょう。そんな風に思いました。