第11話 鍋島との邂逅

永島龍子は悪い奴では無さそうだ。

俺は考えながらの帰宅となる。

因みに永島と横山だが2人で遊びに行くと先に帰った。

俺はそれを柔和に見送り.....帰宅した.....のだが。

路地裏の途中でまた絡まれる女子の声.....?


「俺の仲間が捕まったんだけどさ。アンタらの知り合いのせいで」

「そーそー。責任取ってくれるよな?お前ら」

「分かるよな?」


永島と横山が絡まれていた。

それも今度は5人ぐらいのアホ共に。

永島は不愉快そうな顔で睨みながら横山を後ろに居させる。

俺はその不良5人組の姿に、ウザ、と思いながら見ていると。

何コソコソしてんの?、と背後から声がした。


「.....お前」

「やっほー。久しぶり」


何故か知らないが。

背後に鍋島が立っていた。

そして俺を見ながら笑みを浮かべている。

コイツ.....まさかと思うが。


「.....お前が仕組んだのか。これは」

「いやー。何だか真面目系女子と連んでいるって話じゃない?だから半分情報提供。アハハ」

「.....許し難い事をするな。お前も大概」

「何?あの女子達が大切なの?」


大切か.....。

ふむ、と考えながら居ると。

鍋島はこう告げてきた。

アンタは戻れないよ。光の道に、と。

俺の心がザワッとした。


「.....アンタなんかが光のまともな道を歩めるとでも?甘いわ」

「お前が決める事じゃ無いだろう」

「いやいや。それは言い切れるって。アンタも大概妄想が酷いね」

「.....お前の様なアホが彼女で無くなって良かったわ。頭にくる感じだ」


頭にくる?いやいや。

私は正論を言っているだけだけど、と鍋島は笑う。

すると、キャー!、と声がした。


背後を見ると絡まれている。

それも永島も横山も。

その中で鍋島が永島と横山に向く。


「ねえねえ。君達さ。.....本気であの男が変わるって思ってる?これ以上関わるとこんな感じで危険な目に遭うのが止まらないよ?」


と笑って言いながら2人を見る。

その言葉に2人は恐ろしいという感じの顔をしながら鍋島を見る。

俺は複雑な顔をする。

すると永島がポツリと呟いた。


「貴方とは違う。.....彼はアンタの様なゴミクズと違って。.....まともに光の道へ戻ろうとしている。貴方の様なゴミクズは今すぐに地に落ちると良いわ」

「.....へえ。随分と強いね。君」


かなり衝撃を受ける。

そして永島を見る。

すると次の瞬間。

勢い良く永島の服を周りの奴らが切り裂いた。


そして下着が露わになる。

その事に.....。

永島は涙を浮かべている。


「アハハ。これでもまだ威勢を保てる?危険な状況って気付いてる?あなた方の状況」

「アンタ.....」

「あまり調子に乗らないでくれる?」


その言葉を火種に。

永島も横山、2人は襲われる。

光の道に戻れない、か。

俺は思いながら沈黙.....する事は無かった。

永島の言葉を思い出す。


『貴方は光の道へ戻ろうとしている』


その言葉に俺は。

身体が勝手に動いた。

それから永島を襲っている不良を思いっきり殴り飛ばす。


そして巨体が飛んで地面に倒れる。

気絶した。

そうしてから横山に絡んでいる不良も殴り飛ばす。


「.....逃げろ。お前ら」

「山形くん?」

「今直ぐにここから逃げろ。そして俺にもう絶対に関わるな」


それから俺は2人を引き離す。

そして逃がす為に背後に回った。

だが。


何故か2人は逃げない。

永島も横山も。

俺を見ながら首を振った。


「貴方一人を置いていけないわ」

「そうだね。龍子ちゃん」

「.....馬鹿かお前ら。良いか。ピアノの指も。お前らも。全部傷付ける訳にはいかない。だから」

「言ったわよね」

「.....何を?」


永島が俺を見ながら苦笑い。

そして横山も頷く。

それから俺を見てくる。

私達は貴方のその自己犠牲をどうにかして止めるって、と告げてくる。

今そんな事を言ってる場合か。


「.....お前ら.....有難いけど状況が違う。逃げてくれ。頼む」


鍋島も先輩とやらも醜い笑顔を浮かべている。

だが2人は決して逃げなかった。

俺は、ならそこで待っていてくれるか、と言うと。

その必要も無いわ、と永島が言葉を発する。

え?、と思いながら永島を見る。


「そうだな」

「数が数だけどその上の数を迎えたら良いだけじゃね?」

「.....永島さんが言うんだからしゃーないな」


何故か知らないが。

鍋島と先輩もどきの背後に.....クラスメイトが集まっていた。

30人ぐらい居る。

鍋島は、は?、という感じになる。

俺は、!?、と思いながら永島を見る。


「私。性格上、準備を怠らないの。こういう危険もあるかと思って山形くんと私の事を気に掛けてほしいってクラスメイトにお願いした。.....そして今に至る訳だけど。以前の山形くんなら集まってくれなかったとは思うわ。だけど今は違う。こうして集まってくれるのよ。みんな」

「.....永島.....」


俺は唖然としながら見ていると。

鍋島は、チッ、と言いながら逃げ出す。

それを俺はハッとして追い掛けたが。

思いっきり囲まれてしまった。


「クソ女め.....」


これも計画のうちか。

思いながら俺は足止めを食らってから4人の不良を見ていると。

不良達はスタンガンを取り出した。

30人が一気に崩れ怯む。

この不良ども常識の範囲内を超えているな。


「まあ俺はお前とそこの女子さえボコれれば何でも良いわけで」

「そーそー」

「つーわけで犠牲になれ。数がどうとかそんなの関係ねぇ!!!!!」


俺はそれを何とか避けながらそのまま不良にアッパーを食らわせた。

そして1人が倒れる中。

俺はもう一人を脳震盪で倒れさせる。

耳を持った。


「素人のスタンガン捌きで地獄を見れるなんて思うな」

「.....お前.....!!!!!」


そしてその不良も撃沈させてそのまま俺は手を叩いた。

それからハッとして周りを見る。

しまったな.....またやってしまった、と思ったが。

30人も永島もそして横山も。

俺に寄って来ながら.....笑みを浮かべる。


「つえーじゃん」

「マジかよ。めっちゃつえぇ」

「女子を守る男子ってカッコいいな」


予想外の反応に俺は困惑する。

すると永島も横山も、貴方が頑張ったからその見返りになっている、と笑みを浮かべながら見てくる。

俺はその言葉に、!、と浮かべながら永島を驚きの目で見る。

みんなも、そうだな。悪い奴じゃ無そうだ、と言いながら笑顔を浮かべる。


「.....」


俺は困惑しながら暫く全員を見ていた。

永島も横山も柔和になりながら俺を見る。


『光の道にアンタは戻れないしね』


俺は.....その言葉を思い出したが。

正直言ってその気分すらも忘れられる様な。

今が何か良い気分だった。

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ENDOF THE BOND 〜彼女がNTRたのだが〜 アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou

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