第12話 ドロシー・ハヌマン
また、一人おいてけぼりにされた。手を繋いで走って行く二人に追いつこうと走り出したわたしは、転んでしまった。痛くて起き上がれない。なんでこんな時に
「痛くない」と手の平で膝を覆ったら、体の中をなにかが動いて手の平が光った。ピンクだった。
それを見ていた庭師が、
「お嬢様、それは」と言いながら走って来た。
庭師は、持っていた鋏で手の平をちょんとついて
「お嬢様、お願いします」
わたしは、早くどいてよ。行っちゃったじゃないと思いながら手の平を向けた。
ピンクの光がふわーーと広がった。すると庭師は
「お知らせしないと」と言うとわたしを置いて、家の方に走って行った。
わたしは二人を追いかけたが、見つからなかった。また、どこかに隠れてわたしを見て笑ってるんだ。
いつもわたしを一人にして二人で遊ぶ。
庭に立ち尽くしていると、おじさまと庭師がやって来た。
庭師がもう一度自分の手の平を鋏でつんとつつくと、プクッと血が出てきた。二人を見上げると、おじさまがうなづいた。
『ほんとに・・・同じことをやらせるなんて』と思いながら手の平を向けると、ほわんとピンクの光が手の平を包んだ。
「これは・・・・まさしく」とおじさまはわたしの手を引いて歩き出した。
「このことは漏らさないように・・・・・ちゃんと手当をして置くように」と庭師に命令した。
わたしはそのまま、馬車に乗り、自分の家に戻った。
連絡をして置いたのか、お父様が玄関で待っていた。二人はお父様の執務室にはいった。
わたしは自室にいるように言われ、部屋で絵を描いた。二人がバツを受けて泣いている絵を描いた。
しばらくすると、執務室に来るように言われて、部屋に行くとお母様も部屋にいた。
三人は侍女の手を取るとナイフで軽く切った。侍女が痛いと泣いたのでイラっとした。
わたしはさっさと終わらせたかったので、手の平を向けて
「泣くな、うるさい」と思った。っと手の平から、ピンクの光が出てお父様とお母様は笑って顔を見合わせた。
「すでに聖女がいる。うまくやらないといけない」とおじさまが言うと
「もちろんだ。知らせてくれて感謝する。後はこちらでやるから引き取ってくれるか?」
「なんだと、知らせてやったんだぞ」
「別に君の知らせがなくとも、能力はすぐにわかる。この子が話してくれたはずだ」
わたしは黙って何度もうなづいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます