失踪した婚約者を探す男のミステリー短編です。 月下美人のテーマに相応しく美しい文章には思わず引き込まれます。(特にアパートの室内描写がステキ) 読み耽るままに主人公に感情移入していると、見事に騙される、そんな作品です。 思わぬ結末にはきっと驚かされる事でしょう。 是非、ご一読下さい。
読み終えた時、嘘でしょ……という驚きでいっぱいになった。感情移入して読んでいたら、まさかの展開である。これもきっと一つの恋なのだろう。読み終えた時、きっともう一度読み返す。そんな物語はいかがですか?
月下美人に恋をする蝙蝠。それが何を指すのか、最後まで読んで意味がわかった、ないし逆転した瞬間に鳥肌が立ちました。美しい物語です。と同時に残酷な物語です。誰かを思う気持ちというものは、強ければ強い程、そして思うように受け入れられなければないほど、その歪みは激烈なものとなるのでしょう。その果てに発動するエゴイズムを見守る白い花は、一体人間の中に何を観るのでしょう。ほんのわずかしかない開花の時に、彼女(月下美人)がふれた人間がこうだったというのは、悲劇かもしれません。