オレとケダマの友好契約

石花うめ

オレとケダマの友好契約

 今年の願い事は、何にしようか。

 中学からの帰り道。ただ涼を求めてスーパーに入ろうとしたとき、入り口のわきに置かれているカラフルな笹が目に入ったから、ついそんなことを考えた。

 もうそんな季節かー。時の流れって早い。

「玲央、何してるんだ?」

 足を止めたオレの後ろから、友達が頬ずりしてくる。

 去年の七夕に出会った、オレの一番の友達だ。

「近けぇよ。離れろ。お前、もふもふだから暑いんだよ」

 初めてこいつと出会った時は、まさかこんなに長い付き合いになるとは思ってもみなかった。

 しかし今思うと、こいつはオレの願いを叶えるために現れてくれたのかもしれない。


————


 去年の七夕のことだった。

「友達が欲しい」

 と、スーパーの短冊にこっそり願い事を書いた帰り道、オレの前に毛むくじゃらの物体が現れた。どこから来たのかも分からなくて、気付いたら目の前にあったという感じだった。

 大きさはドッジボールの球と同じくらいで、くすんだ白い毛でびっしり覆われていた。

 不気味な物体だった。

 丸まったウサギの背中のようにも見えるが、多分これは、あり得ないほど大きい埃の塊だろう。きっとそうだ。新手の嫌がらせか?

 オレはそれをゴミ箱にでも捨てようと思った。近くにコンビニがあってゴミを捨てられるから、そこまで足で蹴って運べばいい。

 だけど、蹴ろうとした瞬間に、それが喋ったのだ。

「お前の友達になってやるよ!」

 声変わりの途中みたいな、中性的な声で。

「喋った⁉」

 オレは蹴ろうとして振り上げた脚を空振りして、地面に尻もちをついた。

「大丈夫か?」

「——いや、だってあの、いきなりでビックリして……」

「そんなことより」

 その物体はオレに近付いてきて言った。

「友達になってやるよ!」

 いきなり現れてオレを転ばせて恥をかかせたうえに、友達になってやるって——。なんなんだ、こいつは!

 オレは無視することに決めた。

 気味が悪いと思ったし、それ以上に、上から目線の言い方が気に障ったのだ。

 オレは立ち上がり、その物体を避けて通ろうとした。だけど、離れられなかった。

 そいつはペットみたいに、オレの後をついてきたのだ。

 目も鼻も口も無いのに「無視すんなー」と言いながら、手も足も無いのにピコピコ跳ねるように追ってくる。

 相手にしたくなかったので、「オレは、人間の、友達が欲しいの!」と言って突き放そうとした。

 だけど、それでもついてきた。

「俺は人間よりもっと凄い、ドラゴンだぞ!」

「嘘つけ。翼も生えてなければ、爪も牙も無いじゃん」

 オレが言うと、毛むくじゃらの物体は困った様子で「それは……」と少し考えた後、苦し紛れにこう言った。

「こっ、これから生えてくるんだ! 俺は成長期、だからな!」

 当時のオレは、当然そんなの嘘だと思っていた。

「信用できないね」

 しかし、オレがいくら走っても、その物体はついてきた。

 そして、とうとう家の庭に居座り始めたのだ。


 翌朝。

 学校に向かうオレの後ろを、ケダマがついてきた。

 ケダマというのは、昨日オレが勝手に自分の中でつけた名前だ。

 毛むくじゃらの物体、だと長すぎるから。利便性を向上させるためにつけた。決して、愛着が湧いたとかではなかった。

「おはよう。昨日はよく眠れたか?」

 もう何年も一緒にいるみたいな言い方で、ケダマが訊いてくる。

「……うん」

「それはよかったな。じゃあ、俺と友達になって——」

「あのさぁ」

 オレはケダマの言葉を遮った。

「周りの人に変な目で見られるから、話しかけないでくれる?」

 頭のおかしい奴だと思われるのが嫌だった。

 現に、すれ違う人みんなが痛々しい目でオレを見ていた。

 当然だろう。だって、得体の知れない毛の塊と会話しているんだから。オレだって、そんな人を見たら同じ反応をするだろう。

「そうか、すまないな」

 ケダマは、周りに人がいる時はオレに話しかけてこなくなったが、どこに行くにも後ろをついてきた。

 学校に行ったら、当然のようにクラスメイトたちが怪訝な目でオレを見てきた。


 そんな日が何日か続いた。

 ケダマは、まだオレの友達になるのを諦めていなかった。

 雨の日は濡れるのを嫌がるようにオレの肩に乗ってきた。勝手にカバンの中に入ることもあれば、授業中オレの腿の上に居座ることもあった。

 オレとの距離を縮めてきていた。

 だけどオレがケダマに抱く嫌悪感は、ケダマが距離を詰めてくるのと反比例するように大きくなっていった。

 なぜなら、ケダマがオレに近付くほど、周りの人間はオレを避けるからだ。

 これじゃ、いつまで経っても友達ができない。


 休み時間。みんなが外に遊びに行くなか、オレは人気のない渡り廊下に来ていた。二人きりになったので、今ならケダマと話せる。

「お前のせいで、誰にも話しかけられないじゃん」

 するとケダマは微動だにせず言い放った。

「俺のせいじゃないだろ。お前には元から仲良さそうな人がいないじゃん」

「は⁉」

 カチンときた。と同時に、ドキッとした。

 ケダマの言った通りだったのだ。

 オレはしばらく、何も言い返せなかった。


 そう、元々オレには友達がいなかったのだ。

 原因は、オレが他の生徒より学校から離れた場所に住んでいることだ。 一緒に登下校してくれる友達がいない。

 厳密には、少し前までは一緒に登下校してくれる友達が二人いた。だけど、そいつらとは絶交中だった。

 鷲崎と立石。

 二人ともオレより学校に近いところに住んでいる。だから一緒に登校する時でも、オレのいない間に話が進んでいて、オレが会話に入れないことも多かった。

 ある日オレを馬鹿にするみたいに二人でコソコソ内緒話をしていたから、腹が立って叩いてしまった。そうしたら二人とも泣いてしまって、それ以来、二人と俺との間には距離が生まれてしまったのだ。


 そんなことがあったからオレは、誰と話しているときも疑心暗鬼に陥るようになってしまっていた。オレの居場所はここではないのではないか。オレの知らないところでは、実はオレ以外の奴ら同士で仲良くしていて、オレの悪口を言っているのではないか。そんなことを考えるようになってしまっていた。

 二人と絶交したオレは、気付いたらクラスで孤立していて、オレから誰かに話しかけにいくこともできなくなっていた。


 だけどオレは、ケダマにそれを見破られるのが怖くて見栄を張った。

「オレ、仲いい人いるから! 証拠に放課後、その友達と一緒に帰ってやるよ!」


 そして放課後、オレは絶交中の鷲崎と立石を見つけた。生徒玄関を出た二人は、ちょうど並んで帰るところだった。

 これをきっかけに仲直りができたら——そんな淡い期待を抱きながら、若干の早歩きで少しずつ後ろから近づいた。

 その時、雑談していた二人の会話が耳に入った。

「玲央、今日も変じゃなかった?」

「うん。なんか汚い埃の球みたいなやつを学校に連れて来て、話しかけてるんだもん」

「絶対おかしいよ」

「もしかして、宇宙人? 洗脳されてるのかな……」

「まさか。でも、あいつ、最近ずっと怖いんだよなー」

 オレは、二人の後をつけるのをやめた。

「本当は、友達いないんだろ?」

 オレの横でケダマが煽ってくる。

「俺が友達になってやるよ。だから、友達になりたいです、ってお願いしてみ」

 ふざけんな!

 ケダマのせいで、オレは二人に怪しまれてんだよ。

 お前がいつも側にいるから、オレは友達ができないんだよ。

 なんでいつもオレから離れないんだよ。

「……そっか」

 オレは閃いた。

 離れないなら、離せばいいんだ。

 オレは、その思いついた事を実行するために歩き出した。

「おい、無視すんなー」

 ケダマはポンポン跳ねながらオレについてくる。


 オレが来たのは、通学路を少し外れた山道を流れている大きな川だ。昨日雨が降ったせいか、水かさが増し、流れも速くなっていた。

 その手前で足を止めた。

「どうした? ここはいつも通ってる通学路じゃないだろ」

 ケダマが首を傾げるみたいに左右に揺れる。

 オレはそんなケダマを抱き上げた。ケダマはオレの体温で少し温かくなった。

「一緒に遊ぶのか?」

 ケダマは楽しそうに上下にフワフワ浮く。

 その動きを封じるように、オレはケダマを右手で鷲掴みにした。軽く助走をとって胸を広げ、スポーツテストのソフトボール投げの要領で出来るだけ遠くに投げた。

 夕焼け空の下、白い毛をまき散らしながらケダマが宙を舞う。

 そしてケダマは川に落ちた。

「どうして……!」

 あっという間にケダマが川に飲み込まれる。

 小さな岩に当たりながら流されるケダマは、オレの元へ戻ってくるために必死に抗っているように見えた。

「助けてくれよぉ!」

「嫌だ、お前のせいで友達ができないんだ!」

「——ごめん、俺が悪かった! ごめん! もう近付かないから、だから、助けて!」

 ケダマは水が苦手だ。

 雨の日は頑なにオレの傘に入ろうとしてきたし、濡れた手で触られるのをいつも嫌がっていた。だから、川に落としたらもうオレに近付かなくなるだろうと思っていて、その予感は見事に的中した。


 ——ざまあ、みろ……。


 ざまあみろ、って、思おうとした。

 でもなぜか、オレの心臓は針で刺されたみたいにチクリと痛くなって、その痛みはじんわりと強く大きくなっていく。

 嫌な奴を遠ざけてやったはずなのに、泣きそうになる。

 ぼやける視界に映るケダマは、さっきより小さくなっていた。水勢に負けて、毛がボロボロと流されてしまっている。表情は分からないけど、その様子が涙を流しているように見えてしまう。

 やがて小さくなったケダマは、助けて、すら言わなくなった。


 ——ケダマが死んじゃう!


 それは、なんか嫌だった。

 明日からまた一人静かに登下校をしなきゃいけないのかと思ったら、急に寂しくなってきた。ケダマのことを余計なものだと思っていたはずなのに、それが無くなることに違和感を覚えてしまう自分がいた。

 ケダマが隣にいることが、いつの間にか当たり前になっていたのだ。

 いまケダマを見捨てたら、もう二度と、オレに友達なんて出来ないような気がした。


 ——ケダマを助けなきゃ!


 その決心がつくまでの逡巡は、時間にして十数秒だった。しかし前日に降った雨のせいで水かさが増しているためか、ケダマは思ったより遠くに行ってしまっていた。

「いま助けるよ!」

 オレはダッシュで川に突入した。深さはオレの腰くらい。最初はそこまで深くないと思った。だけど、強い水流に足を掬われて犬かきのような形になってしまった途端、流された身体は言うことを聞かなくなった。


 でも諦めない。諦めたくない。


 オレは足を川底の岩に引っ掛けたり、岩を掴んだりしながら、辛うじて体の制御を取り戻し、ケダマに追いついた。

「……なんで、飛び込んだんだよ。お前が溺れちゃう、だろ」

 か細い声でケダマが言う。もう、ふっと息をかけたら消えてしまいそうなロウソクの火みたいだ。

 オレは到底許されないことをした。だけど——

「ごめん!」と叫んだ。

「ケダマ、ごめん、おれ、本当は友達になりたかった! いつも誰かのせいにして、何かのせいにして、遠ざけてただけだった! 本当は、オレ、お前が話しかけてくれて、たぶん本当は嬉しかった! だから、友達になりたい!」

 何度も川の水を飲んでしまいながら叫んだ。

 今さら何言ってるんだろう、って自分でも思った。

 でも、とにかく声をかけてケダマの意識を取り戻したいと思って、咄嗟に出た本音がそれだった。

 しかしオレの手の中で、ケダマは動かなくなった。

「ケダマ! ケダマ!」

 そして気付いたら、オレたちにトドメを刺そうとしているような巨大な岩が、目の前に立ちふさがっていた。岩の左右に逸れる余裕は無い。でも、この勢いのまま岩に衝突したら死ぬかもしれない。

 どうすることもできない。

「くそっ!」

 せっかく。せっかく、ケダマがオレの友達になってくれようとしたのに。オレは……。

「ごめん、ケダマ」

 オレはケダマを抱きしめた。

 そして目をつぶった。

 最後に聞いた音は、「バシャン!」と水のはねる音だった。


 しばらく、オレは目をつぶっていた。

 フワフワした感覚を覚えた。岩にぶつかったと思ったら、体が軽くなっていた。宙に浮いているみたいだ。


 ——オレ、死んだ?


 冷えた体を風が撫でる。

 その時。

「起きたか?」

 頭上からケダマの声がした。

「ケダマ……って、え⁉」

 そこには、白銀に輝く小さな翼を広げる、オレの知らないドラゴンがいた。

 鋭い爪に服を掴まれて、オレは空を飛んでいたのだ。

「ケダマ、なの?」

「おう!」

 ケダマは長くなった首を曲げ、オレの顔を覗き込む。

「見ろ、お前が友達になりたいって願ってくれたおかげで、俺はドラゴンになれたぞ!」

 そう言って笑うケダマには、口も目もあった。口には立派な牙が二本生えていた。まつ毛か眉毛かよく分からない長い毛が目を半分以上覆い隠しているせいか、穏やかなたれ目に見える。

 ドラゴンのイメージといえば、体長が何メートルもあり、赤い鱗のようなものに覆われたツルツルの体表をしているイメージがあるけど、全くそんなことはない。

 体長は多分オレの上半身くらいだし、翼を広げた姿はせいぜい大きめの凧といったところだ。そして何より、相変わらず雪ウサギみたいな白い毛まみれの体をしている。

 本で見るようなドラゴンとは全然違う。

 でも、オレが知ってるどんな動物よりもカッコいい生き物だ。

「下を見て見ろ」

 言われるがまま下を見た。

 そして思わず息を飲んだ。

「……凄い!」

 川面一体にケダマの白い羽が散らばっていて、それが夕陽に照らされて星のように輝いているのだ。

 でも、これってまさに——

「天の川だ……!」

「綺麗だな!」

 オレたちは顔を見合わせて笑った。


 ケダマはオレを掴んだまま空を飛んで、家の庭まで運んでくれた。

 そこでケダマは、あの日オレの目の前に現れた経緯を話してくれた。

 ケダマは本当にドラゴン族で、遥か離れた天空にある「ドラゴンの里」に生まれたらしい。だが、見た目がみんなと明らかに違う変異種だったため、そこを追い出されてしまったのだ。

 そして、「友達がほしい」というオレの願いに引き寄せられるように、オレの前に現れたのだった。

 仲間や親に認められるか、人間と契約をすることによって、ドラゴンは初めて一人前になれるらしい。

 だから結果として、オレが口に出した「友達になりたい」という言葉が、ケダマとの契約を結んだことになったみたいだ。そしてケダマは、土壇場で一人前のドラゴンになったのだ。

 オレは尋ねた。

「どうしてオレなんかと、友達になってくれようとしたの?」

「そりゃ、似てると思ったからだ。里を追い出された俺と、なんか孤独そうなお前。似てると思ったから、絶対友達になれるって、俺は信じてたぜ」

 そう言って笑うケダマを、オレは強く抱きしめた。

「ありがとう、ケダマ! オレと友達になってくれて」


————

 

 こうしてケダマと友達になり、一年が過ぎた。

 オレは現在、中学二年生だ。


 ケダマとの一件で分かったことがある。

 それは、当時のオレは自ら壁を作ってしまっていたという事だ。

 ケダマはずっとオレと友達になろうとしてくれていたのに、オレは無視し続けてしまった。

 鷲崎と立石にコソコソ話をされて孤独を感じたのだって、本当は二人がオレの誕生日会をサプライズで開こうとしてくれていただけだったのだ。でもオレは強めの被害妄想をしてしまって、二人に絶交を叩きつける結果になったのだ。二人はオレのことをずっと心配してくれていたのに、オレが遮断してしまっていた。


 そしてもう一つ分かったことがある。

 それは、言葉を交わせば分かり合えるという事だ。

 話してみないと分からないこともある。自分の気持ちを伝えれば、相手もそれに応えてくれる。ドラゴンと人間でそれが出来たのだから、人間同士でそれが出来ないはずはなかった。

 オレは二人に謝って、無事、再び友達に戻ることが出来た。


 そして今、オレはケダマに頬ずりされている。

「玲央、何してるんだ?」

「近けぇよ。離れろ。お前、もふもふだから暑いんだよ」

 今日はケダマと出会って二回目の七夕だ。

 この一年でケダマはすっかりオレに懐いてしまい、どこに行くにも離れない。

 いや、ケダマは初めて会った時からこんな感じだから、懐いたのはオレの方かもしれない。ケダマのおかげで、一年前までのオレとは全く別人みたいに笑えてる気がする。


 ケダマを押しのけたオレは、スーパーの入り口に置かれている笹の前で、何も書かれていない短冊を持ったまま立ち竦む。

「どんなお願い書こっかなー」

「まだ決めてなかったのかよ」

「うるさいなー。お前が近くにいるから書けないんだよ」

「何だと?」

 ケダマがオレを小突く。

 本当はもう、今年のお願いは決まっている。

 だけど、まだ少し迷っている。

「……そういえばさ、お前はいつまで地球にいられるんだ? ドラゴンの里に戻らないといけなくなったりしないのか?」

 ケダマは何も気にしてなさそうに、オレの体の周りを一周グルっと飛び回った。

「俺はドラゴンの里を追い出されているから、もう戻ることはないと思うぞ。それにお前が俺と契約してくれているからな。断言はできないけど、多分ずっとここにいる」

「……そっか」

「いや反応薄いな!」


 ちょうどその時、後ろから「お二人さん、相変わらず仲がいいねー」と冷やかすような声が聞こえた。

 振り返ると、鷲崎と立石が立っていた。

 二人はオレがケダマを連れていることに関して何も言わない。もう見慣れたらしく、オレたちのことを理解してくれている。

「ちょうどよかった。ちょっとの間、ケダマをオレから引き離してくれない?」

 オレが頼むと、鷲崎と立石は何かを察したように「お安い御用だ」と腕をまくった。

 ケダマは心配そうな顔をしてクルルと喉を鳴らす。

「大丈夫だよケダマ、すぐ書き終わるから」

 オレはケダマの頭をポンと触った後、ペンを握った。


 オレは決めているのだ。

 ケダマと結んでいる「友達としての契約」を終わらせることを。

 言葉にすれば相手に伝わる。それは分かっているけど、身近な存在になりすぎたからこそ真っすぐな言葉を伝えるのには勇気が要る。


 だから、まずは短冊に書くことから始めようと思う。

 オレは心を込めて、丁寧な字で書いた。


「ケダマと親友になって、これからもずっと一緒にいられますように」


 もう少しだけ待っていてくれ、ケダマ。


 近いうちに必ず自分から、「親友としての再契約」を申し出るから。


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