後編
先輩と仲良くなった私たちは、いつの間にかふたりの関係性になっていった。ふたりだけで毎日連絡を取り合うようになったし、ふたりだけでよくお出かけしたし、もちろんふたりだけでゲームもしてたんよ。
そうやって先輩との時間が何よりも心地よいって気付いた時には、好きの矢印が全部先輩に向いていて、もう手遅れやった。だから私は我慢できひんなって、スキンシップで気を引くことも多くなって、ドキドキしながらも先輩に好意を刷り込んで……。
そうしてお家で二人きりになった時。
「大事なお話あるんやけど、ええかな……?」
「ええけど、どしたん?」
「えっと、あの……私、先輩のこと、好き。好きなんです!」
そう伝えた。きっと顔も赤くなってた。
冗談な感じじゃなくて、すごくまじめに伝えちゃったから、その空気感で好きの意味とか全部伝わっちゃったみたいで。
「えっと、そういうこと……だよね。えっとえっと、ちょっと待って!」
先輩は息を整えてから私の方を向いて答える。
「ウチも、文香のこと、好き、やで……」
そんな言葉を聞いた私は嬉しくて嬉しくて、背の高い先輩の胸に飛び込むように、ぎゅーって抱きしめてしまうのだった。
そんなこんながあって数日。
私は先輩と同じお布団にくるまっている。
隣に先輩の温かさがある。ふふふ。
「ねえ文香」
「どうしたん?」
「えっと、ぎゅーしていい……?」
「そんなん訊かんでもしていいんよ?」
普段はあんなに強気な先輩も、私の前ではこーんなに甘えたさんになっちゃうんやから。もうかわいくてしゃあない!
そんな先輩は私の胸にぎゅーってしてくる。
お布団の中やから身長差なんていくらでも変えられちゃう。
今は私のかわいい先輩。
「やわらかい……。落ち着く……」
とってもリラックスした先輩は目を瞑って、顔で直に胸の感触を確かめる。
そんなかわいい先輩の頭を撫でながら私は言う。
「えへへ。先輩はかわいいなぁ。こんなところ誰にも見せられへんよね」
「……こんなん文香にだけやから」
「ふふ、ありがとねー」
とっても甘い時間。
でも私はもっともっと甘くしたくておねだりをする。
「ねえねえ」
「なにー?」
「ちゅーしたい」
実は今までちゅーはしてこなかったから、今なら行けると踏んで訊いてみた。
「えっと……」
先輩がもじもじしてる間に顔がどんどん赤くなっていく。
私も勢いで言ってるところあるから、そんな時間置かれるとだんだん恥ずかしなっちゃうやん。
ここはひとつ。
「わかりました先輩、唇にちゅーしますから、嫌だったら
「えっと」
私は有無を言わせず先輩の顔に近づく。
「ほら、さーん」
「え」
「にーい」
「あわわ」
「いーち」
「……」
ちゅ。
少しだけ唇同士が触れ合う。
もっと感触を確かめたくて、
……ちゅっ。
…………ゅっ。
………………っ。
「ふみか……」
「せんぱい……」
もう私たちは目がとろんと溶けて、唇もとろとろに溶けて何がなんだかわかんなくなっていた。
ずっと、ずっと一緒がいいな。どこまでもふたりで。
きっとこれからも一緒にゲームもやって、おでかけもして、いつか社会人になって、一緒に住んで。
そんな中でも先輩とならうまくいく気がする。
きっとこれは予感なんかじゃない。確信なんだ。
やって、今まで先輩と歩んできた中で、先輩の悪いところやって見てきたけど、それを含めても好きって思えるんやもん。
ふたりでいればうまくいく。
そう確信した私は安心しきって、また先輩の唇に近づく。
「ふみかぁ……」
かわいいかわいい先輩のことたくさん幸せにしてあげるね。
愛してる。
……………………。
関西の子がゲームをきっかけに先輩を彼女にしちゃう話 だずん @dazun
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