涙「他責」

 悲しいことだが、僕は高校2年の夏。

 人にすべての責任を押し付け、逃げたことがある。


 今でも、夢に出てくる。自分自身が初めて、嫌になった出来事だ。


 正直、思い出すのが辛いし簡潔に話して終わろうと思う。


 当時の僕の怒りのぶつけ先は、天井のような無機物ではない。自分自身でもない。自分を今まで支えてくれた、親そのもだった。


 反抗期とよく言われるそれが、僕の場合は高校2年になって到来した。そして、自分で言うべきではないだろうがその反抗期は酷いものだったと記憶している。


 高校の先生が嫌になり、初めて暴言というものを吐いた。人に。

 言ったときはすっきりした。後のことは特に考えもせず、自分勝手に。中学のときのリバウンドは、高校2年になっても収まっていなかった。いや、その先生によって引き起こされた。というべきだろう。


 一人で抱えていたあの時を思い出す出来事が、その先生によって多く再現されきた。先生が嫌いにわけでもないだろうに、俺は過去の失敗を引きずって暴走した。


 それがきっかけだった。学校でのあり得ない出来事。

 中学の時は、無関心だったのにあのときだけは違った。


 「お前のために言う、学校を辞めておけ」


 今思えば、良心から来た言葉だったが。親というのは、遠回しすぎた。当時の俺は、それに猛反発した。

 それからというもの、元から遠かった距離はさらに敬遠となった。お互いに分かっていた。自分がダメだったと。


 それでも、未熟な当時は相手を責めることしかできなかった。


 三週間。


 考えて、初めて親と話した。


 「学校は行く、もう心配させない」

 「お前を信じてるから、行ってきなさい。父さんが、悪かった」


 それだけでも、多くを得た。生まれてから、愛情を受けながらも間接的なそれは僕には届かなかった。でも、その日。直接的な愛に飢えていた僕は、涙を流した。


 他責をしていいことはない。心が軽くなった気がするが、それは虚しくなっただけ。すぐに重く溜まり、それを吐き出すには心を割って話すしかない。


 それで、俺は涙を流した。

 虚しいだけの涙から嬉しさが満たされた涙を。

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