もっとなかよくなれますように


 私は昨日、大事な友達を傷つけた。

 私には、前からずっと怒りっぽいところがあった。嫌なことや悲しいことがあると、すぐに大きな声で怒ってしまう。だからいつもみんなに怖がられて、友達もなかなかできなかった。

 でも3人は、怖いって言わずに私と仲良くしてくれた。だから私は、3人の前では絶対に怒らないようにしようって思ってた。それなのに……

 昨日私は、はるくんに怒ってしまった。あの時の私は、大事なクマさんが汚れて焦ってたからそれどころじゃなかったけど、今思えば、言いすぎてしまったと思う。


 クマさんは、家に帰った後にママがきれいにしてくれた。私は安心したけど、何だかずっとモヤモヤしていた。

 どうしよう、もしかしたらみんな、私のことが嫌いになったかもしれない。もう一緒に遊んでくれないかもしれない。友達がいなくなっちゃうかもしれない。


 「大丈夫だよ」

 ママが優しい声で言った。

 私は全部をママに話した。私はママに怒られると思ってたけど、ママは怒らなかった。

 「はるくんにごめんなさいっていうんだよ。そしたらきっと許してもらえるから」

 ママが言った。

 「許してもらえるかな?」

 「仲良しなんでしょ?」

 「うん……」

 「なら大丈夫」

 ママは私の肩をポンポンと叩く。

 私は怖かった。はるくんに酷いことを言って逃げてきて、きっと私のことなんて嫌いになっただろう。謝って、もし許してもらえなかったら、そう思うと、どうしても怖かった。

 「これにお願い事書いてみな」

 突然ママが変な形の紙をくれた。

 「なにこれ?」

 「これは短冊って言ってね。願い事を書くの」

 「書いてどうするの?」

 「7月7日にお願い事すると、お星様が叶えてくれるんだよ。だから、書いてみて?」

 私は鉛筆を持ち、願い事を考えた。でも、わからなかった。何をお願いしたいのか、私にはわからなかった。

 「わかんない」

 私は独り言を言った。

 「ゆきは、はるくんとうみちゃんとかえでくんとどうしたいの?」

 「はるくんと仲直りして、それから……」

 私は思い付いた。願い事、絶対に叶ってほしいわたしの願い事。私は慌ててそれを短冊に書いた。


 「そっか、じゃあまずははるくんに、ごめんなさいって言わないとね!」

 そう言って、ママは私の短冊を飾った。

 明日は学校、きっとはるくんにもみんなにも会える。その時に、ちゃんと言わないといけない。ごめんなさい。いうのは怖いけど、私のお願いを叶えるには絶対に言わないと。

 ママは嘘をつかない。だから大丈夫。きっとお星様は私の願いを聞いてくれる。

 私はみんなが大好き、だから……


 「みんなともっとなかよくなれますように」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

短冊は思いをつなぐ 桜飴彩葉。 @ameiro_color

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ