クズ男注意報

@kyo-mu

第1話 都志也

夜中の一時、電話が鳴った。

「なあ、遊び行こうぜ」

電話の先の声は都志也だ。都志也とは8年の仲になる。都志也のコミュ力は異常で、右に出る者はいないのではないかと思えるほど誰とでもすぐに仲良くなる。それ故に友達の数もとてつもなく多く、インスタのフォロワー数は1000を優に超える。しかもほとんどが友達というのだから驚きを隠せない。さらにこの男、なぜかモテるのだ。身長は172cmとあまり高い方ではない。着ている服も今流行りの韓国系などではなく、ストリート系といういかつめの服を好んで着ている。顔は目がキリッとしていて、濃くも薄くもない、いわば醤油顔というやつだ。そして頭が悪い。なのになぜモテるのか。

「いいよ。迎えにきて」

そう答えた私は彼と近くの繁華街に出た。24時間やってる居酒屋に入り、席につく。さあ、行動開始だ。私と彼は二手に分かれて店内を歩いた。

「どう?可愛い子いた?」

「いやーいないね。そっちは?」

「こっちにはいた。ほら、あそこの角の席に座ってる2人組。めっちゃ可愛くね?」

都志也が指差した先にはとんでもない美人がいた。

「わお、めっちゃ可愛いな」

私はあまりの美人さに、どうせ彼氏がいるだろうと思い諦めていた。なのに都志也は、頭が悪いからか、コミュ力でどうにかできると思ってなのかはわからないが、すでに話かけに向かっていた。

「お姉さんたちこんな時間まで飲んでて何してるのー?」

私はどうせ最初に拒否られると思っていた。しかし、

「私たち定期的に集まって飲んでるんですよー」

まさか会話をしてくれるとは。話しかけてみるもんだなと思った。

気づいたら3時間経っていた。さらに気づいたら都志也は酔い潰れて女の子に抱きついていた。右手は太ももに。左手は胸に添えるだけ。私ともう1人の女の子は

「これはお持ち帰りコースだな笑」

と笑っていた。

次の居酒屋に向かっている途中の出来事だった。都志也がさっきいた居酒屋にスマホを忘れたと言い出した。先に居酒屋に向かって注文しておいて欲しいと。抱きつかれてた女の子も酔っていて心配なのでついて行くとのこと。私はバカじゃない。私は快諾し、向こうは居酒屋に戻った。そこから都志也が帰ってくることはなかった。

翌日、都志也から連絡が来たのは昼の11時だった。

「おはよ笑 昨日の酔ったふり完璧だっただろ笑 ああやってやればいけるから笑」

都志也はこれで経験人数を増やしてるようだ。20超えてからは数えてないという。

ごめん。俺そんなんしないでも行けてるわ。しかも、もう一回2人で飲む約束もしたわ。さらによくよく話を聞いてみると、相手の女の子のテクニックが凄すぎて、ドM化したという。その顔でMってマジか。とは、口が裂けても言えなかった。

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