第8話 出会い
ルフメーヌに着き、街の外の森で魔物を倒していた私は日も暮れてきたので帰ろうと考えていたが、ゴブリンと女性の声が聞こえて助けようか迷っていた。
迷っていたら近くの茂みが揺れて女性が出てきた。
「ひぃ!?」
「…あ。ごめん」
何分警戒していたので、咄嗟にその女性にナイフを向けてしまい女性は怖がって震えてしまったが。
「…ゴ、ゴブリンが何体か、ええと、5体のいや、3体増えて8体が追いかけて来ているので、は、早く逃げて!」
ガサガサと茂みから出て来た女性が言う。
サーモンピンクの髪を左右で三つ編みにして長い前髪で顔はよく見えないが、アワアワとしているのはよく分かる。逃げてきたからなのか、体のあちこちに葉っぱがついているくたびれた革鎧を身に付けた私と同い年くらいの女の人。
「…いえ、2人なら8体相手でもなんとかなるはずです。一緒に倒しましょう」
「え?い、良いの?貴女は巻き込まれた、私が巻き込んだようなものなのに、協力、して、くれるの?」
「はい。もちろん」
今の私が第3王子から逃げている状況だ。人を見捨てる人間にはなりたくないし、これ以上逃げたら第3王子から逃げ切れなくなる気がする。
それにこの女性は弓士のようだ。私が距離を詰めさせないようにすれば、2人でも倒せるはずだ。
「あ、ありがとう!グスッ、うれしい」
そんなエゴで答えた私に女性はお礼を言い、涙ぐんでいた。
「グスッ、でもまだ喜んではいられないね」
「うん。ゴブリンは武器を持っていた?」
「ええ、5体が棍棒を、2体が弓を、1体が剣を持っていたよ」
「弓と剣ですか」
「あ、ででも、弓持ちは矢をいくつか使っていたからもうほとんど持っていないし、剣も歯切れが悪そうだった。手入れをしていないんだろうね」
女性は自分の背にある矢筒を触りながら言う。逃げながらそこまで見ているなんて女性の観察眼は優れているみたいだ。
「...あ、あの、わわっわたしは動き回りながら弓を使って戦うんだけど、あなた!は、どんな戦い方をするの?」
モジモジしていると思ったら、女性が口をパクパクさせて私に話し掛けた。ゴブリンの説明をしていた時の流暢な言葉使いはどこに投げ捨ててしまったのだろうか。
「私は、魔法で牽制をしてナイフで止めを刺す感じで…」
「な、なるほど、そ、それじゃあ、魔法で牽制してもらっている間にわたしが弓を…いや、それだとわたしの弓の腕前が……」
ぶつぶつと呟きだしてしまった女性は、どうやら作戦を考えてくれているようだ。邪魔をしないように、周囲の警戒に神経を尖らせる。
「あれで……こうして………よしっ!わたしが弓で気を惹いてその隙にあなたが短剣で止め、っていうのにゃ、ど、ど、どどどっ!どうかな?」
「…いいと思うよ」
「よっかったー!!……これでわたしの弓の下手さがバレにくくなるっ!」
考えが纏まったらしく、作戦は簡単なものだが上手くいきそうな内容だった。ただ、作戦の説明が終わった瞬間に噛んだ挙げ句最後の不穏な一言は聞かなかった事にしたが。
「…そうだ。…わ、わたしゅはケイシー、一時の間だけど、よろしく」
「うん。私は、エルこちらこそよろしく」
それは兎も角、ケイシーと私で一時的な共闘をする事になった。握手を交わし、敵の襲撃に備える。
「……来るっ!!」
ガサッ!ガサガサッッ!!
『「「「ギャギャー!」」」』
既に暗がりに包まれ始めた森の中から遂にゴブリンがケイシーと私を見つけた。
追っていた獲物を見つけた上に、獲物が増えているという幸運に気味の悪い笑顔を浮かべているゴブリン。
自身の得物を構えジリジリと距離を詰め、弓に矢を番えて、両者共に戦闘準備をする。
「ギャギャ!」
『「「ギャー!!」」』
そして奥に立つ他よりも大きい体躯をした剣を持ったゴブリンの声で戦闘が始まった。
「作戦通りに行こう!剣持ちのゴブリンは後回しにして!…えいっ!」
一斉に走って来るゴブリンから目を離さずに一声で言ったケイシーは第1射目を放った。
「ギャギャギャ!」
「ああっ!」
その矢は1番戦闘のゴブリン、の手前の地面に突き刺さりダメージどころか足止めすらできなかった。
「・・・【ウォーターボール】」
私は近くに迫るゴブリンに向けて水魔法を放ち、駆け出す。
今回放った水魔法は前回から学習して土を混ぜ、泥水にした。効果は高いはずだ。
「ギャウギャァァ……」
渾身の泥水魔法に驚き、動きが鈍った1番先頭のゴブリンの心臓を刺して、止まらないように次のゴブリンに肉薄する。
「ギャー!!!」
ケイシーが動き回り素早く射った矢の1つが、私に棍棒を振り上げ、横から迫っていたゴブリンの腕を射った。射たれたゴブリンの叫び声で一瞬、他のゴブリンの意識が逸れる。
「よしっ!ちゃんと当たった!」
「ギギャ?」
ついでに聞こえたケイシーの叫び声に気をとられたゴブリンもいた。
「ハァ!」
その隙を逃さずにゴブリンの首を刺し、もう1体のゴブリンの背後に立ち心臓を刺す。ゴブリンの放った矢が飛んで来るが、数が少ないので気を付けていれば当たる事は無い。
「「ギャーギャ!」」
そのまま残りのゴブリンも倒そうと思って見ると、目があったゴブリンがくるりと背を向けて走り出した。追い掛けようとしたがその前に剣持ちのゴブリンが動き、逃げたゴブリン2体の前に立ち塞がる。
「ギョウ!ギャー!」
「「ギャギャ!」」
剣持ちのゴブリンが一喝すると逃げたゴブリンは振り返り、再び殺意を向けた。
だが、その瞬間にはエルは弓持ちのゴブリンの側に、ケイシーも弓持ちゴブリンツーに向けて矢を射っていた。
「「ギャァァ!」」
見事エルとケイシーは同時にゴブリンを倒した。
「ギャギギャ?」
「…ギャ?」
仲間が殺され、あっという間に半分になってしまったゴブリン達は、顔を見合せ冷や汗をダラダラと流すと
「「…ギャギャギャー!」」
また、一斉に逃走しようと走り始めた。
「ギギャウ!」
「ギャ!?ギャーギャギャ」
「ギギャ?ギャギャウ?」
「「ギャッ!」」
それをもう一度、剣持ちのゴブリンが一喝して止めた。
剣持ちのゴブリンはまだ負けたとは思っていない。彼にとって、まともに戦いもせずに逃げた弓使いの女と、それに運悪く出会った弱そうな女はまだ獲物なのだ。ギラギラと、自信に満ち溢れた瞳で剣持ちのゴブリンはケイシーとエルを見る。
「ギギャギャウ!ギャウギャー!!」
弓使いに射たれて怪我をしたゴブリンもいるが、それはそいつの油断と弱さが招いたことでその程度で獲物に背を向けるなんて彼のプライドが許さない。
「ギャギャギャ、ギャーウギャギギャ!」
「「「ギャー!ギャ!」」」
剣持ちのゴブリンは弱気になった仲間を鼓舞して士気を奮い立たせた。戦意を取り戻したゴブリンと共に、剣持ちのゴブリンも走り出す。
「ギャギャウ!ギャギャー!!」
「「「ギャー!!!」」」
「え、ええ!エル!」
「先に3体を倒して剣持ちを相手しよう!」
「えっ?」
「きっと出来る!」
「そんなっ!無理!むむ無理ー!」
その様子を見て慌てた声を出したケイシーに私はそう返し、ケイシーの返事を待たずにまず、向かって来る剣持ちのゴブリンに向かって走り出した。
「…【ウィンドパレット】」
「ギャウギャー!!」
風魔法で拾っていた石を剣持ちのゴブリンの顔に向かって飛ばす。石を防ごうと腕を顔の前に掲げた剣持ちのゴブリンの横を通り、ケイシーの射った矢をいくつか回収して懐にしまう。
「【ウォーターランス】」
水魔法の槍を作り、狙いを怪我をして動きが鈍ったゴブリンに定めると。
「飛んで行け!」
力いっぱい投げた。槍は真っ直ぐに狙い通りのゴブリンの頭に当たった。
「ギャ!ギャギャ!」
倒れたゴブリンに驚きながらも敵意を向けて走り出したゴブリンに向かって私も走り、振り上げた棍棒を避けてナイフを突き立てる。
「ヒイィィィ!怖いよー!」
「もう少しだから頑張って!」
悲鳴を上げたケイシーをチラッと見る。剣持ちのゴブリンから離れ、動き回ってたまに矢を射つ事で近付けないようにしていた。速く走れているのもそうだが、巧く剣持ちのゴブリンの動きをコントロールしてる。
悲鳴は上げているがまだ気にしなくて良さそうだ。
「ギャァァ──」
最後に残ったゴブリンが断末魔を上げてドサッ、と倒れたのを見てケイシーと剣持ちのゴブリンに向かって走り出す。
「ケイシー!今行く!」
「お、ねがい!」
ケイシーから帰って来た返事が先程よりも余裕が無さそうだったので、速く走れるように強くイメージしながらケイシーを追う剣持ちのゴブリンの後ろに迫る。
「あ、ああ!も、もう矢が無い!」
「ギャギャー!ギャギャウ!」
あともう少し、のところでケイシーの持っている矢が尽きた。立ち止まってしまったケイシーに剣持ちのゴブリンが追い付き、剣を振り上げる。
それに気づいたケイシーは小さく身を縮めた。
間に合わないと思った。
「ッ!ハァ!!」
一瞬でも、時間稼ぎをしなければ。どうにか、気を逸らすナニかが起きれば、起こさなければ。
───ヒュン!
ギィィィン─────
「ギギャウギャギャギャウ!」
咄嗟に投げたナイフは、無情にも剣持ちのゴブリンに払われ、傷1つ与えることはなかった。無為に終わった私の足掻きを嘲笑う剣持ちのゴブリン。
だが、私の方を向いたな?
「【ライト】!!」
眼を焼かんばかりの閃光が一瞬、森の中に現れる。
事前に目を瞑り顔を背けた私と、身を縮めて手で頭を覆っているケイシーは兎も角、剣持ちのゴブリンは何の対策もできてない。
「ギャーーー!?」
予想通り、剣持ちのゴブリンは閃光を直に視てしまいその強烈な光に目を覆った。ただ、その時にはもう遅く、剣持ちの視界は真っ暗になったのだろう。
「【ウォータージェット】」
「ギィギャ!?」
私の放った水魔法に気がつけず、足に攻撃を浴びて叫んだ。視界が奪われた上、攻撃までされた剣持ちのゴブリンは安易に動く事ができなくなり、その隙にケイシーは離れる事ができた。
「た、助かった~!」
「怪我は無い?」
「無いよ~。し、死んだかと思った~!」
「良かった。それとこれ、拾ったから使って」
「あ、矢だぁ!ありがとう、矢を持ってきてくれて。もう無くなって困ってたの」
暴れる剣持ちのゴブリンを警戒しつつも、ケイシーの無事の確認と拾った矢を渡す。
「私を追い回した報いは受けて貰うよ!」
早速矢を番えたケイシーは剣持ちのゴブリンにそう言うと長い前髪の隙間から紫色の瞳を煌めかせ、矢を射った。
「あっ・・・」
射った矢はキレイな軌道を描いて、ほとんど動いていない剣持ちのゴブリンの後ろの木に刺さった。狙っていた剣持ちのゴブリンには掠りもしなかった。
「ギャーウ!ギャギャ!!」
そしてタイミング悪く、光魔法で奪われた視界が回復した剣持ちのゴブリンは激怒で叫ぶとズンズンと迫って来た。
「ど、どど、うしよう!」
「逃げよう!」
「ギャウゥゥ!!」
私はさっきの光魔法と水魔法で魔力はほとんど使いきった。もうちょっとした魔法しか使えない。ナイフも投げてしまったから武器もない。
ケイシーはさっきの通り矢が当たらない。自己申告の通りに当たらない。
対して剣持ちのゴブリンは足に怪我こそあるものの、怒りも相まって元気元気!な状況だ。もう逃げるしかない。
「ハァ、ハァ、まだ追って来るよぅ」
「どうしよう。もう暗くなってきたからこれ以上はまともに走れなくなるし…」
暗くなった場所で有利になるのはゴブリンだ。あっちは夜目が利く。私達は身体強化をしていても夜になったらぼんやりとした輪郭しか見えなくなる。不利だ。
どうしようか、魔法や弓を使わずにあの怒れるゴブリンを倒す方法は、方法…。崖に落とすとか?いくら夜目が利くとはいえ、急に現れた崖を避けるのは難しいはずだ。強かろうと大きかろうと関係なく倒せる。でも私、この辺りの地形分からない。じゃあ別の方法を、どんな方法なら・・・。
「え、エル!」
「……えっ?」
「崖なら、えと、ここからなら南東の方角に1つと、南の方角に1つあるよ!ああ、でも落とすなら、南の崖の方がいいかな。ギリギリまで茂みで崖が見えないし、それに……」
ケイシーが私の頭の中を見ていたかのようにこの辺りの崖の場所を話しだした。いや、声に出ていたのかな。
「き、きっとこのまま真っ直ぐ走って、ギリギリで避ければ今のゴブリンなら落ちてくれるよ!」
「うん。それでいこうケイシー」
「もう少し、頑張ろうね!」
暗くなった森でも分かる笑顔を見せてケイシーは言った。その言葉に頷き、あと少し全力で走る。
「もう着くよ!エル、手を!」
「うん!」
ケイシーが出した手を握る。私が崖の場所が分からないから、万が一落ちないように考えてくれたんだろう。
「あそこの茂みの先が崖だよ!」
「ギャウ!ギャウギャー!!!」
「・・・今!!」
怒りで頭がいっぱいになったゴブリンが剣を振り回しながら迫る。よりギリギリで避ける為か、少し走る速度を落としたケイシーは後ろを何度か確認すると、木で見えなくなった一瞬を突いて茂みに飛び込んだ。
「ギャー!ギャギャウ!?ギャギャー!!」
直後、ゴブリンの叫び声が聞こえた。石が落ちる音と、ゴブリンが落ちたドスン!という大きな音が崖下から響き、静かになる。
「.........だ、大丈夫かな?」
「見てみよう」
一応落ちたのか確認しに崖下を覗き見る。それらしい影が崖下にあるのが見えたので、安心して崖から離れた。
「よ、良かった~!怖かった、怖かったぁ!」
「うん、そうだね。ケイシー、崖の場所教えてくれてありがとう。場所を知らなかったから助かったよ」
「そ、そんな!いいよ。半分以上のゴブリンは、え、エルが倒したんだから......」
「でも剣持ちのゴブリンを倒せなかったら私達が危なかったし、あのゴブリン1体で5体分を倒したも同然だと思うよ」
「そうなのかな?」
「うん!とっても助かったよ」
お礼を言い、笑いあっていたが突然下を向いてジメッとした気配を纏ったケイシーを慌てて励ました。
◇◇◇
「ええ、エル!今日のお礼に私が奢るから好きに食べてね!こ、ここのお店は何でも美味しいんだよ」
「そうなんだ。それじゃあ、オススメを教えて欲しいな」
「えっと、それならこれとこれかな。あ、これはこのお店の名物で美味しいよ」
「じゃあそれにしようかな」
「う、うん、すい、すいません...。ぁぅ」
「あの、すいません!」
何を言っても『私は役立たずだった』『逃げてばかりの腰抜け』としか返してくれなかったケイシーを何度も励まし、崖下に降りて剣持ちのゴブリンが死体になっているかの確認をして解体した。冒険者ギルドにゴブリンの素材を売ると、どうにか元気を取り戻したケイシーのオススメだと言う酒場、『小人の大皿亭』に来た。
ワイワイガヤガヤ、楽しくも騒がしいお店でとても繁盛しているようだ。ケイシーが呼び止めようとした店員さんも小走りで店内を動き回っていた。
注文して、料理が来るまでの間ケイシーと話をしてしばらく、店員さんが料理を運んできた。
「此方、ご注文のヘロヘロ鳥の煮込みと、レタキャのサラダキャーロのドレッシングがけと、ウサちゃんミートパイです」
どれも美味しそうな見た目だ。だがなぜ最後の料理名だけファンシーなのだろうか。ウサちゃんはミンチにされているから影も形も無いのに。
「フフ、このウサちゃんミートパイ、美味しいんだ~。1番食べると病みつきになっちゃうの」
「へー、楽しみだな」
「それじゃあ、かんぱーい」
「かんぱーい」
共に運ばれた度数の低いお酒の入った木のコップを合わせて食べ始める。
「このお店はね、朝のスープも美味しいんだって。も、もし良ければ、明日行こうね」
「うん。楽しみにしてる」
「うん!楽しみにしてて。…あ、お酒1つお願いします」
早速食べ始めると、ケイシーは早々にお酒を飲み干し、追加を頼む。
とろけるような食感になるまで煮込まれた鳥の手羽先や色んな野菜の入った具沢山の煮込みは野菜と鳥の出汁で優しい味がした。
「私は~、弱いよ?だけど知識はつけたの!なのに、なのに~!」
「うんうん。大変だったんだね、頑張ったんだね」
「そうなの~!」
レタキャのサラダはドレッシングのキャーロの味と果物だろうか、酸味がサッパリとして食べ進めやすい。
「ウッウッ、何度も助言して、事前に下調べもして、物質補給もしてたんだよ!それなのに、『俺達はもうすぐでAランクになるんだ。そのパーティーに失敗する奴はいらない』って!!!それ以外を頑張っていたのに!」
「そうだねー。ケイシーは悪くないのにねー」
ウサちゃんミートパイは名前のファンシーさを裏切る美味しさだった。パリパリのパイ生地、噛めば溢れる肉汁、少しのスパイシーさ。『病みつきになる』そんなケイシーの言葉通りに夢中になって食べてしまった。
「そうなの!確かにちょっと、大切な場面で矢を当てられなかったり、すぐに逃げ回ったりしてただけで!」
「う、うんそうだね」
「それ以外では役に立ってたの!エルだって分かるでしょ!」
「うんうん、わかるよ」
「私は弱いよ?弱いけど、知識は~」
…料理の味に集中して考えないようにしていたが、ケイシーはお酒が弱いようだ。潰れはしないが酔いまくる。ゴクゴクと飲み、追加を頼み、お酒が運ばれる。その繰り返しをしてあっという間に酔うと、ケイシーが冒険者パーティーを追放された話をしだした。
「グスッ、ずっと一緒に頑張ってきた仲間だったの。信じていたの。彼らはずっと私の仲間だって」
「…そっか、大切な存在だったんだね」
「冒険者になって、1番最初にパーティーを組んだのが彼らだった。楽しかった。失敗して怒られたり、雑用を沢山任されるようになっても、『彼らの役に立っている』その気持ちがあったから頑張れた。頑張っていたのに~!」
「大切に思っていたのに、裏切られるのは辛いよね」
「そうなの、そうなの!うわぁぁん!」
お酒を飲む前とは別人では?そう考えてしまうくらいには違う。オドオド、モジモジしていたケイシーが、グチグチ、ハキハキと喋っている。これで同一人物なのだから凄い。
そんなケイシーとの
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