あいだのこいだのの話
この世に存在しないものってなにがあると思います?
なにがある?って無いって言いきってることを聞いてくるなよ。
あれ、愛とか心とか幽霊とか
じゃあ見たことないもの全てかな。
貴方しか見えない、みたいな話?
貴方しか居ない、みたいな話。
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私は彼がいるぶん幸運なのだろう。
彼は昔から私と育ち、彼と共に行動することが当たり前だった。心が通じあった友人だ。
彼とは愛情や恋愛、科学やオカルトなど様々な事を話し合った。
「話が出来るのは君だけだよ」
と彼はよく嬉しげに言った。
「幽霊って見たことある?」
とある日彼は話しかけて来た。
「無いよそんなもの」
「冷たいなあ、ロマンとか無いの?話してみたいとか思わない?」
「存在しないものと話したいとか変な興味はない。」
「でもでも人なんてこれまでの歴史で何人もいなくなってるんだよ。1回くらい見たこととか会ったことあるほうが普通だよ、じゃない?いつか会えるかな?」
「そうかもね」
彼は続ける
「はい!この世に存在しないものってなにがあると思います?」
「なにがある?って無いって言いきってることを聞くなよ。」
「あれ、愛とか心とか幽霊とか」
「じゃあ見たことないもの全てかな。」
「貴方しか見えない、みたいな話?」
「貴方としかこんな無駄な話しないって話。」
「あ!これって!恋?!」
こんな日常のよくある、くだるところすらない会話がなぜ記憶にあるのかわからない。ただ強く強く印象に残っている。
彼は好きなのだろうが心だの愛だのの話は嫌いだ。
叶うことの方が少ない恋なんて博打をしたくはない。心とかいう目に見えないものも信じられない。彼に抱いてる特別な感情から目を背ければ、というか故意に考えなければ私の世界にそれは入る余地はない。だから素直になれなかった私が悪いだけだ。終わらなくて引きずる恋ってよくあるものでしょ。途中で終わっちゃう恋も終わらせちゃう恋も。ただ愛とか恋とかって幸せそのものだからみんなに伝えなきゃ。世界中の、みんなに。
私は彼がいたぶん幸運なのだろう。
私は彼の前からいなくなった。
だれでもない私が彼にとっていちばん必要ないものだからだ。恐らく彼はもう寂しさなどす少しもないだろう。どこにでも行ける彼はきっと会いたがっていた幽霊とも会えるはずだ。私はもう会えないが幸せでいてほしい。
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この世に存在しないものってなにがあると思います?
貴方しか居ない。
あれ、愛情とか心とか幽霊とか
貴方しか居ない。
貴方しか見えない、みたいな話?
そうだよ、貴方しか居ない。
愛も恋も貴方だけの物だから。
私だけの貴方だから。
ショート≠ショート 冠城 刺刀 @Caname_ism
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