クラスで一番可愛くない奴だ。

夕日ゆうや

可愛くない奴。

「は。なに? キモいんだけど」

 冷笑を浮かべて俺を見下してくる砂上さじょう心桜こころ

 銀髪のロングヘアーをながして、蒼い目で睨み付けてくる。

 端正な顔立ち。スタイルも良い。

 この最強に可愛くない奴に分からせてやる――。

 最高に性格の可愛くない砂上に。


 そう意気込んだ俺だったが、すぐに後悔することになる。

「俺、お前のそういう性格変えるべきだと思う」

「は? あんたにそんなこと言われる必要ないと思うけど?」

「そういうな。お前、あの一条いちじょう隼人はやとのことが好きなんだろ?」

 ガタッと机を叩き、立ち上がる砂上。

「あんた。それをどこで!」

「いっつもアピールしているだろ。そんなの俺でも分かる」

「そ、そう……。あんた変態?」

「なんでそうなる?」

 俺は頭が痛くなり、指をあてる。

「ずっと見ていたのでしょう?」

「それは否定しないが……」

「それなら変態よ」

 決めつけたかのように言う砂上。

 まあ、いいか。

「で、一条に好かれるにはどうすればいいと思う?」

「……性格を、変える……?」

 そうだ。

 砂上は誰に対しても割ときつめな性格だ。

 そこさえなければ一条も付き合うと言っていた。

「……分かった。一条の親友のお前を利用してやる」

「だから、それが可愛くないんだって……」

 俺はこれから先が不安になりつつも、彼女のサポートをしようと思った。

 なにせ、俺は花坂はなさか波瑠はるに恋をしている。

 花坂が一条にフラれればチャンスは巡ってくるというもの。


 だから手を貸す。

 みんなの幸せのために。




――――――――

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クラスで一番可愛くない奴だ。 夕日ゆうや @PT03wing

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