第44話 村の生活にも少し変化が……リア充だけど爆発はしないでほしいです。



 まあ、もっふもふのヤギはともかく……赤ちゃんオオカミの飼育は大変だった。最初だけは……。


 ヤギの乳とか、妊娠してる奴隷お母さんの母乳とかで、どうにかしようとリコは頑張ったんだけど、どんどん赤ちゃんオオカミが弱っていくという悲しい現実……。


 それを目の前で見ているリコもすごく辛そうで……。


 どうにかして、リコを笑顔にしたい。


 そのためだけに僕は必死で考えましたよ?


 そして、ピンっと、ひらめきました。


 イチゴ、プチトマト、さつまいも、枝豆……畑の作物が元の世界と比べて、なんだか大きく育つのはなぜか。

 クマさんとか、トラさんとか、それこそオオカミさんとかも、元の世界と比べて、どうもひとつかふたつくらいサイズが大きいのはなぜか。


 元の世界と、この世界の違いは何か。


 ……魔力とか、魔法とかが、違う部分なのではないか、という結論。


 いや、動物が農作物と同じだとは限らないんですけど、なんとなく、それが正解のような気がして、ですね。


 森の開拓も、元々はそういう、豊かに樹木が育つ土地を農地に変えていく、という感じで、王城にいた頃、学んだ記憶もあったものでして。


 それで、ヤギの乳とか、奴隷お母さんの母乳とかに、水魔法で出した水をまぜて、赤ちゃんオオカミに飲ませるようにしたんです。

 もちろん、僕のアイデアだけど、リコも水魔法が使えるようになったので、魔力で作られた水はすぐに用意できる状況というのもよかった。


 まあ、これがびっくりするほどの効果があった。とにかく赤ちゃんオオカミが元気を取り戻していくんですよ……。


 魔力が万能という可能性が、ちょっと怖いくらいかもしれない。


 ……まあ、それでリコが笑顔になるんなら、そっちが大事ですけどね。






 それと、改めて気づいてしまった。


 サイゼラさんとかも、やっぱり、赤ちゃんオオカミを見て、それはダメだろうって顔になったんですよね。キッチョムさんみたいに。


 でも、僕とリコには、言わない。というか、言えないんでしょう。


 ……僕たちが強いから。圧倒的に。


 それが、この世界の本質。


 いわゆる、弱肉強食、ですかね。そういう感じです。強者が正義、みたいな。


 今、リコがやってることは、将来の脅威を自分で生み出しているワケですし。


 たぶん、リコもそういう意味があることには気づいていて、それでも……小さな命をどうにか助けたい。それと、この子たちのお母さんを奪ってしまった罪悪感を少しでも軽くしたい……。


 難しい問題だけど……僕はやっぱりリコ優先で。


 村人ももちろん、大切だけど、だからといって、リコよりも優先することはない。そもそも僕は……自分が異世界転移を楽しみたいと思って、おっさん神様にあんなお願いをしたんだから。


 まあ、支配者? 為政者? そういう立場とすれば、間違っているのかもしれないけどね。


「かわいいー」

「かわいー」

「かーいー」


 もちろん、そういうことを抜きにして、子どもたちはリコ側ですね。サイゼラさんたちみたいな大人とは違う感覚がある。


 あ、ミミとイーマに加えて、新しく村にやってきた女の子のシャンです。シャンがちょっと小さい。だいぶ年下ですね。


 ミミが一番お姉さんで、姉妹ではないけど、次女イーマ、三女シャン、という感じになってる。親が忙しくて育ててないってのもある。僕とリコが託児所みたいな感じかもしれない。


 シャンにはそのうち、魔法的実験をさせないといけないですね。あ、新しい村人奴隷たちもか……。


 男の子たちはあんまり赤ちゃんオオカミに興味がない。というか、むしろ、リコを取られた、みたいな感じで赤ちゃんオオカミに嫉妬してる? いや、リコは僕のリコだからな?


 魔法で水やりができるミミとイーマは、リコと一緒に赤ちゃんオオカミにも水やりしてます。水やりって表現は正しくないかもだけど。


 ちっちゃいシャンは、それを真似してるけど、まあ、水は出ないですよね……ポーズを真似するだけでもかわいいけど。子どもって、ほんっと、和むなぁ。


 でも、いずれ、この子たちを森へと放つ時がくるのかも……なんて、そんなことを思うんですよね……。


 あ、ちなみに、ヤギさんたちは、防壁の中に入ってからは、僕とリコのところで寝ることはなくなったね。やっぱりキッチョムさんたちが言ってた通りか……。






 さて。

 村に新メンバーが加わったことで、男衆の夜の生活に変化が起きた。ちょっと前よりも寒さがマシになってきた、というのもあるんだけど、今は嫁ありの5人――リア充ファイブが、5つのテントを専用ヤりテント化してる。


 あ、心配していた、他の娼婦的女奴隷への手出しは、今のところ、5人ともしていないようです。


 奴隷を購入してのお嫁さん……契約結婚のような購入結婚ですけど、言ってみれば、「借金の肩代わり」という感じなのかもしれませんね。

 そもそもお嫁さんになった奴隷の人たちは借金奴隷で、奴隷じゃなくてお嫁さんとしての扱いだから、よく考えたら奴隷解放が済んでるようなものでして。


 ええと、昔の日本でいう、いわゆる「身請け」みたいな感じでしょうか? 花魁が愛人とか、お嫁さんとかになって妓楼から出ていくアレです。


 だんなとお嫁さんの間に借金が残っていると考えるのか、考えないのかは……僕としては考えたくないなぁ……。


 あと、残りの人たちね。サイゼラさんのところと、ナラさんのところのお弟子さん的な人たち。


 この人たちはお嫁さんがいないから、娼婦的な女奴隷さんたちのところに、順番を決めて、やっぱり毎晩、お楽しみなワケです。


 ……まあ、男同士で夕暮れのヤりテントに入っていく姿を見るよりはいいか、と。


 僕の感覚もかなりおかしくなってる気がする。


 でも、おそらく……。


 また3か月くらいしたら、どんどん妊娠しちゃって、夏の初めくらいにまた僕たちがゲラドバに行って、新しく奴隷を買うんだろうなぁ……。


 その頃にはトラさんの毛皮のオークションも終わってる可能性があるはずだから、ちょうどいいといえばそうなんだけどね。





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