第40話 うーん、やっぱりこの異世界って、命が軽い。いろんな意味で軽いです。
僕とリコの開拓村は、冬に入っても、特に問題もなく……と言いたいところなんですけど、実は問題発生です。困った、マジで。
それは、奴隷のお母さんたちの妊娠だったりする。
次々と、お母さんたちの妊娠が発覚しまして……。
まあ、あれだけ毎晩、男衆の相手をしていれば、それは、もう、当然そうなるはずだというか……。まあ、普通に考えればそうなるよね。そもそもアレはそういう行為なんだし。
それにここの男衆はみんな、苗字は中田氏みたいなので。外田氏にしてくれればいいのに……。
これからはキッチョム・ナカタとか、ナーザ・ナカタとか、サイゼラ・ナカタとか、呼んでやろうか……。
あ、勘違いしないでほしいんですけど、妊娠が問題じゃないんですよ。妊娠そのものはとっても大事。ほんとに大事。
妊娠した結果、男衆の相手ができないってことが、問題になってるだけ。そこなんですよ。男衆にとっての大問題が……。
「いや、無理だってこたぁ、こっちも分かってるんだ」
「でも、やりてぇんだよな……」
サイゼラさんたちがそんなことを言うのでめちゃくちゃ心配になってきた。なぜなら、この村、僕とリコの村のはずなのに、ナチュラルにNTR村なんですよね……。
僕が購入した奴隷は借金奴隷の家族で、ちゃんとお父さんとお母さんがいるんですよ。そのお母さんが、1日にふたり、男衆を相手にしてきたワケでして……。
つまり、お父さんは、毎日、毎晩、お嫁さんをNTRされてるんです……。マジでここはどういう村なんだ……。僕とリコの村だけど……。
本当に、借金って、ダメですよね……。
まあ、この人たちは、何か悪いことをして借金を重ねたワケではないらしいので。そういうんじゃなくて、不作の年に小作料が払えなくて……それが数年に渡って、いろいろと利子とかでどうにもならなくなって……というパターン。
どちらかといえば真面目に生きてきたのに、どうにもならなかったという感じらしいので。
そういう意味では理不尽なこの世界の犠牲者なのかもしれないんだけど……元の世界でも、中世って、そんな感じだったのかもしれないので……。
まあ、それはともかくとして。一番大事なことをはっきりと言っておかないと。
「……もしも僕のリコに手をだしたら……」
「だからー、それは絶対にありえねえって!」
「テッシンさまに逆らうヤツなんかいねぇから!」
キッチョムさんとナーザさんが大慌てで否定してる。
「それなら、今はきっちりと我慢して下さい。他の人にも我慢させるように」
「おう。そのへんは、どうにかする」
「まあ、あいつら同士でどうにかさせとくから」
サイゼラさんとナラさんがそう言った。
……へ? 今、なんと?
あいつら同士でどうにかさせとく……とは? はて? それはいったい……?
いや、ここは聞いてはダメな気がする……おそらくBとLな世界観がそこにあるんじゃないだろうか……いや、ラブはないのか。欲望だけで……。
性欲って……やばい……。
まあ、この話は性欲問題だけではなくて、いろいろとあったもんで。
「お願いします、テッシンさま」
「流させてください」
奴隷のご夫婦が、僕にそういうお願いをしてきたんですよね……。
この場合の、流させて、というのは、流産させてほしい、という意味と理解しています。
「……あの、ちなみに、どうやって?」
「それは、腹をなぐるとか、冷たい水の中で……」
「あ、ごめん。もういいです。言わなくて」
怖ろしい。異世界がやっぱり怖い。どういう世界なんだ、ここは……。
「ですが、そうすると……」
「銀貨2枚の稼ぎで借金を減らせなくなるので……」
……誰の種から産まれたか分からないから、とかじゃなくて、そっち? そっちなの? 銀貨の問題だったのか!
NTRについてはオッケーなんだ……いや、この場合は托卵か……。
あまりにも文化が違う……。
いや、待てよ? ということは、他の妊娠したお母さんたちも、似たようなことを考えてる可能性があるかもしれないワケで……。
「すみませんが、すぐに、妊娠したお母さんたちを集めて。あ、お父さんたちも一緒にここへ」
とにかく、こっちに相談もなく、自分たちで流産させようとしたりする可能性も考えとかないと……。
結論から言えば、今にも流産させようとしていました、この人たち。
いや、呼び集めてよかった。マジで。やばいところでしたよ。
こっちは本当に、命が軽い……。あ、性的にも軽いのかもしれない……。
うぅぅ、このNTR村をなんとか、倫理的にできないだろうか? 学校の倫理の教科書って、そういう部分はどう書いてあったっけ? どっちかというと、内容的には保健体育の方か?
「とにかく、子どもは宝ですから、できれば産んでほしいです」
「ですが、テッシンさま……」
「お金については、無事に子どもが生まれたら、男衆を相手にしていたのと同じ分だけ、出しますから」
「え?」
「そんな……いいのですか?」
……いいに決まってる。人口増加、大事。というか、いのちだいじに、だから!
「……よかった。さすが、テッシン」
そもそも論として、流産させて男衆の相手をしろなんて、リコが許してくれるはずがないでしょう?
まあ、実際に金銭は発生しなくて、ただ、奴隷解放が早まるだけだしね。あくまでも帳簿上の金額の話なんで、この借金っていうのは。僕としては特に問題ないに決まってる。
それと、ちょっと腹黒いかもだけど、産まれた子どもが、新しい魔法少女になる可能性も、ちょっとだけ考えてたりする。
……この点に関しては、僕たちを召喚したあの国のハニトラみたいな考えに自分が染まってきたみたいで、ちょっと自己嫌悪してしまったけど。
だからといって、あのクマさんを退治できる戦力は、この村には絶対に必要だろうし。
ここだけは、リコには言えない部分かもなぁ……。
もうひとつ。
この奴隷家族のみんなが無事に妊娠、出産ができるんなら、僕とリコも……って思いも……ありますよ? それってダメですかね?
まあ、男衆の性欲発散の問題もあるので……。ここの雪が溶けだしたらすぐに、僕とリコと、あと何人かはもう一度、町の方へと向かうと決まったワケで。そこで買い物とか、いろいろとやることになってるという。
クマさんは、防壁と魔法少女がいればただのお肉になるということで、僕とリコの出張が決まったワケです。魔法少女万歳。
奴隷商に行って、お嫁さんをふたりと……まあ、また、家族で購入して、さらなるNTR村になっていくんでしょうかね……うーむ……。
でも、子どもは魔法少女の可能性があるからな……そこ、しっかり確保はしたいと思います。
……その日の夕暮れ時に、かつてはお母さんたちが男衆の相手をしていたヤりテントへと、男同士で入っていくのを見掛けました。
それを見た時は、寝る前のリコとの会話が変な感じで盛り上がってしまいましたけどね……。
うん。いろいろ、あるんですよ。いろいろと。
これって、異世界だからなのか、中世ならそういうものだったのか……。
BでLな感じって、宗教的にアウト、とかはないんだろうか……。
そんな理由で戦争になって村が滅びるとかは絶対にイヤだ……。
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