私達は落ちて、消え、損なわれていく。嘘の優しさのままに。

電脳世界で電脳遺失物捜索隊をしている隊長と助手の物語。

長くネットを利用していると、いつの間にか消えていた個人サイトやサービス終了したSNS、以前みたけれども見つからない、あるいは壊れてしまったデータを復元したい思う人にとっても興味が湧く。

電脳世界を扱った作品や、アバターを作って仮想空間に利用するなど馴染みがある題材を選びながら、電脳世界の行き着く未来をSFという形で描いたところは素晴らしい。
SFだけでなく、ミステリー要素も取り入れているところも良かった。

電脳世界なので、馴染みのあるものを登場させているところもいい。
パンケーキだったり、個人運営のイラスト投稿サイト、アクセスカウンターというホームページを自作した人ならわかるものを登場させるなど、馴染み深く現実味を覚える。
また、コメント欄の書き込みは2ちゃんねるを想起させるもの。

たどり着いた真相と、自分たちも電脳の遺失物だというオチは上手い。