夏祭りと続く日々

緋綸子

夏祭りと続く日々

君の持つペットボトルの水滴がひやりと染みたうなじの熱さ



君が食むソフトクリーム溶け落ちた地面はきっと甘いのだろう



君とまだここにいるため残してる限りなく水に近いアイスティー



向かい合う視線に慣れずTシャツの横文字の訳考えている



おまつりにはずむ心で金魚掬うように私を掬ってみてよ



くちびるをわずかに開き水面の下で君が落ちるのを待つ



手をつなぎ突然振りほどく遊び 大人は神隠しには遭えない



人んちにいると突然わからなくなって自分を抱きしめている



さらけだす自分がなくてありきたりばかり重ねるこれが愛する



優しさは全部人真似でしかない 早く目覚めてひとり身支度



何事もなかったように仕事場で接する下心のような時間



出張に寂しさ感じてほしいから机の上をきれいに片す



ボーダーが目立たせる胸のふくらみを何度も自分で見下ろしている



秋の夜の冷たいシーツもぐるのに夢中な魚らを受けとめる



君の顔見たくないとかじゃなくてあっちを向いて寝る方が楽



眠れずにじっとしてたら聞こえ出すいびき合図に寝返りを打つ



「置いてあるスポンジ掃除用だから」眠たい声で風呂場の注意



木枯らしにふるえていたら大ぶりな枝に体を引き寄せられた



直よりも手袋どうしでつなぐのが心地いいのと力説をする



電飾にあまり興味がないことは来年のクリスマスに言おう

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

夏祭りと続く日々 緋綸子 @hirinzu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ