第6話 神の遭遇

木蔭から出てきたのはまるでとは思えない服装をした12歳程の少女、そして品の良いセバスと呼ばれてそうなお爺さんだった。

「誰だ?何見てんだよ、なんか文句ある?」


「いやいや、ただ強いなあって見てただけだよ♪」


「ふーん、爺さんここら辺危ないからそいつ連れて帰りな。」


「そんな言い方はないでしょ、ウェタニウス様。あなた達、この一帯はさっきの魔獣やそれよりもっと凶暴な個体もいます。悪いことは言いませんから帰ったほうがよろしいですよ。」


「ええー、せっかく来たのに。帰りたくないよ♪じいからも何か言って♪」


「そうですね、君たち。あなた達が強いのは分かっていますが、保護者もいないのに子供二人でいるのは危険です。もし、突然変異個体が出てきたらどうするのですか。

この森の危険性はあなた達が一番知ってるはずです。」

魔獣にはまれに突然変異個体が生まれる。これは種としての限界を超えた性能を持っており、一地域の頂点捕食者トッププレデターとなりケースがほとんどだ。また、数百年前に生まれたドラゴンの突然変異個体は大陸の四分の一を壊滅させる天災のような性能を持つものもいる。生物学的にも未だに未解明な部分も多く、突然変異個体による被害は年々増加している。

「しゃーないな、じゃあ森の入り口まで帰るぞ。ドストネウスも、ほら。」


「はぁーい♪ あっ待って、まだ薬草採集できてないよ。」


「お嬢様、それでは薬草を採集してから帰りましょう。よろしいですか。」


「うん、いいよー♪」


「その薬草はどこにあるんですか。」


「そうですね、ここから南西に10分といったところでしょうか。そこに群生地があると思われるので参りましょう。」


「よし、行くか。俺らは場所わからないから案内頼むぞ。」


「私は引き続き周辺警戒をしときます。」


そうして俺たちは薬草の群生地に向かうことにした。

『着きました。ではささっと取って帰りましょう。』

そうして爺さんが手を伸ばした時、不意に木が軋む音がした。

『ウェタニウス様‼︎』

『分かってる。相当ヤバそうなのがきたな』

そう俺が呟いた時、目の前に俺らを軽く飲み込めるほどの大きさの蛙が現れた

      デットリーフロッグ

『あれは…《魔ノ殺人蛙》!!!なぜこんなところに‼︎』

執事はそう叫んだ。

『ドストネウス‼︎そのガキを守れ!』

そういって俺は瞬時に蛙の横に回り込み、魔法を打ち込んだ。

しかし、まだこの世界に来たばかりで、世界の生成をしていない俺の魔法如きでは、一時的に怯ませることしかできなかった。

『助太刀ありがとうございます。』

そう爺さんが俺にいった瞬間、蛙の馬鹿でかい胴体が綺麗に二つに割れた。

この爺さん普通に戦えたのか。

      デットリーフロッグ

『この森に《魔ノ殺人蛙》がいたとは、、私のリサーチ不足でした。』

『いいよ。あのままだともしかしたら全員喰われてたかもだし。』

『やっぱ凄いね♪君』

そうして俺らは森の入り口まで戻ってきた。

『本当に先刻はありがとうございました。貴方達、名前は?』

『人に名乗らせるならまず自分から名乗るのが礼儀じゃないか?』

『申し遅れました、私は“公爵家護衛騎士“のヒューイ・クリスティアーノです。』

『そしてこちらは…』

『僕はアンネ♪アンネ・フロイゼンだよ♪』

『俺はウェタニウス。んで、こっちはドストネウスだ』

『そうですか。ではウェタニウス様。また会う日まで。』

そう言ってヒューイとアンネは姿を消した。


あの子凄かったな…じじでもビビるような相手に堂々と立ち向かうなんて。

その時、僕は生まれて初めて恋をしたのだった♪

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序列二位の高等神、暇なので自分が作った星に行く。 パンチラふぐりす @yazyuuu

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