第3話 今度は莉子ちゃんの番だよ♡

 トイレで井口さんにを触られたわたし。自分で触るのとは全然違うから驚いちゃった。…ちょっと気持ち良く感じたのは、気のせいだよね。



 2人で教室に戻ったらすぐにチャイムが鳴ったので、わたし達は何も話さずに席に戻った。


戻って数分経ったかな? 担任の天笠先生が教室に入ってきて、教壇に立つ。

次はホームルームらしいし、頑張って聴かないと!



 「明日から授業なので、気を引き締めるように!」

天笠先生はそう言ってから、教室を出た。


今日は入学式だけだから、午前中で帰れる。

お昼は何を食べようかな…?


「莉子ちゃん、一緒に帰ろ~」

井口さんがわたしの席までやってきた。


「良いよ、井口さん」


「あのさぁ、トイレの時からずっと気になってたんだけど…」


「? どうかしたの?」


「あたしのこと“真佳まか”って呼んで欲しいな~」


「え? 良いの?」

名前で呼んだほうが友達になりやすいと思うけど。


「良いもなにも、あたしは莉子ちゃんって呼んでるんだから、莉子ちゃんも名前で呼ばないと変じゃん? 距離を感じちゃうよ…」


落ち込む井口さん。


「…わかったよ。じゃあ“真佳ちゃん”って呼ぶね」


「うん。これからよろしくね、莉子ちゃん」


「こちらこそ、真佳ちゃん」



 真佳ちゃんを名前で呼ぶようになったわたし。一緒に教室を出て昇降口で靴を履き替える。それから外に出たんだけど…。


「莉子ちゃんの家って、どのへんにあるの?」

興味津々な様子の真佳ちゃん。


「ここから歩いて10分ぐらいの住宅街だよ」


「歩き? 良いな~。あたしは電車」


「そうなんだ。大変そうだね」

満員電車のイメージが強すぎて…


「実際大変だよ~。人が多いもん。これから夏になったら地獄だね…」


「が…頑張って」

もっと気が利いた言葉をかけたかったけど、思い付かなかった…。



 「ねぇ莉子ちゃん。この時間、お母さんはいるの?」


真佳ちゃん、どうしてそんな事訊くんだろう?


「急にパートのシフトが入っちゃったからいないよ」


「そっか。…良ければだけど、莉子ちゃんの家でお昼食べて良い?」


「え? わたしの家?」


「そう。莉子ちゃんともっと話したいからさ…。お昼はあたしがコンビニで買うから迷惑かけないよ」


そういう事なら問題ないかな?


「わかった。じゃあ、コンビニに寄ろうか」


「ありがと。すぐ決めるからね」


少し寄り道をしてコンビニに寄るわたし達。真佳ちゃんはメロンパンとチョコパン1個ずつ・飲み物・お菓子を買った。


わたしは…、何も買わなくて良いや。



 コンビニから出た後、急いでわたしの家に向かう。お腹ペコペコだから、早く家に着きたいんだよね…。


真佳ちゃんを家に上げてから、リビングに案内する。彼女はテーブルの椅子に座ってから、メロンパンを食べ始めた。わたしも早く準備しよ。


帰るまでに食べる物を考えたんだけど、冷凍パスタに決めた。レンジだけで済むから簡単だよね~。ちょっと時間がかかるのが難点だけど…。


わたしは冷凍庫を漁って冷凍パスタを出し、電子レンジに入れてセットする。

すると真佳ちゃんがキッチンのほうに来た。


「真佳ちゃん、どうかした?」


「温まるまで、莉子ちゃん暇だよね?」


「そうだね…。6分ぐらいかかるかな」


「温まるまで、今度はあたしの体を好きに触って良いよ♡」


「急にどうしたの?」


「トイレで言ったよね? お互いの体を触ってスキンシップするって」


仲が良い子同士はもちろん、仲良くしたい子に対してもすると言ったっけ。


「温まる6分だけで良いから。お願い!」


真佳ちゃんが必死にお願いしてる…。高校で初めてできた友達だし、できる範囲で叶えよう。


「わかったよ。真佳ちゃんの体、触らせてもらうね」


「いつでも良いから♡」


わたしの手は、少しずつ真佳ちゃんの体との距離を縮める…。

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トイレで出会う莉子と真佳 アブノーマルVer あかせ @red_blanc

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