嘘から始まる本当の恋!? 胸キュンと感動の“すれ違い”ラブストーリー!

Unknown

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 土曜日は“仕事”が休みで退屈だな──。


 俺は一部上場企業で働く26歳の男だ。年収は5億9000万。まあ、26歳にもなれば、この程度の年収は当たり前だろう?


 ──ああ、そうだ。


 昔の話でも──しようか……。


 暇なら、俺の話を少し聞いていってくれ。


 ──そう。俺が童貞を卒業したのは2才の時だった。保育園の先生で童貞を捨てた。保育園には「お昼寝の時間」があるのだが、お昼寝の時間の際に当時2才の俺は保育園の先生を“無理矢理犯した”。あれ以来、完全に闇堕ちしてしまった俺は、この地球上の全ての女を見下している。女なんて所詮は単なる肉塊に過ぎないのだから────。


 ◆


「ふぅ……やはり、ラッキーストライクのソフトがタバコの中で最もうまいな……」


 ──現在、俺は圧倒的26歳……。


 黒い椅子に座っている俺は、ラッキーストライクの煙を静かに吐く。

 俺は現在、圧倒的無職……。定職には就いていない。だが、俺の顔面がめちゃくちゃイケメンであり、ついでに親がクッソ金を持っているので、俺は金持ちだ。故に彼女が5人も存在している。ついでに俺はアルコール依存症であり、毎日毎日缶チューハイを飲みまくっている。ついでにメンヘラであり、1日に7種類もの精神薬を服用している。


 ──つい最近、めちゃくちゃ高いフレンチ料理のレストランでディナーを愉しんでいた時、彼女Aに「俳優の横浜流星にそっくりだよねー」と言われた。


 俺はあまり芸能界に詳しくないのだが、どうやら俺の顔やスタイルは「横浜流星」という26歳の俳優にそっくりらしい。


 アパートに帰宅してからスマホで画像検索してみたら、たしかに俺にそっくりだった。特に、甘いマスクから放たれるキュートな笑顔が俺にそっくりだったよ……。


 ──やはり俺は、圧倒的にイケメンなんだ……。


 世の中のブサイクどもには、申し訳ない気持ちでいっぱいだよ。俺が金持ちでイケメンすぎるあまり、この世の可愛い女の子のほとんどを独占してしまっているの、だから。


 東日本の女とは全員やったんじゃないか?


 まあ、東日本の女なんて、全員大したことなかったけどな──。


 絶世の美女と言われている女ですら、俺を満足させることはできなかった。


 もはや、人間が俺を満足させることなんて不可能なのかもしれないな。最近はAIが台頭している。俺を満足させてくれるのは、人間ではなく、AIの英知なのかもしれないな。


 俺は、人間の女には、つくづく飽きたよ。


 昔からそうなんだが、何故か俺のことを好いてくれる女の子は、メンタルを病んでいる(あるいは過去に病んでいた)女の子ばかりだった。どうしてだろう。俺には全く理由がわからないんだ。みんな、優しくて可愛くて、良い子だったよ。


 だが俺は、そういった女の子達ですら、性欲処理の道具としか思っていなかった。


 もちろん全員と会って、やったよ。そして、全員を、やり捨てた。俺はそういう冷酷かつ残酷な男なのさ……。


 俺に触れたら、ヤケドするぜ──?


 ◆


「ふぅ……。やはり、ラッキーストライクのソフトがこの世のタバコで最もうまい……。こんがり焼いたトーストにキャラメルバターを染み込ませたような甘い香り。そして熟成された葉っぱのフルーティーな酸味、これぞアメリカンな良い匂いだよ。火をつけて吸ってみると、これだよこれこれ。安心感があるいつもの味。コクが強く、バタークリームたっぷりのトーストと、焦がしキャラメルのような芳醇な香ばしい旨味とミルキーな甘味を感じるよ。甘くほろ苦くてリッチな後味の余韻を残しながら、ジャムのような酸味と程良い辛味が全体を包み込み、爽やかなキレの良さを演出しているんだね──。全く、お前は可愛いタバコだよ──」


 俺は、ラッキーストライクを吸いながら、アパートで独り言を呟いた……。


「やれやれ、優雅にタバコを吸っていたら、なんかムラムラしてきたから、M性感の風俗にでも、行こうかな────」


 俺のアパートの近くにア●ル責めに特化したM向けの風俗があるという事実をネットで知った。

 俺は特別Mというわけではないが、社会勉強のつもりで、その風俗に足を運ぶことにしたのさ……。


 俺は受話器越しに“優雅に”予約を入れた。


「──あ、もしもし。今からそちらの風俗さんに行きたいんですけど。あ、あ、はい。あ、はい。誰でも、あ、はい。あ、大丈夫です。あ、今から、あ、はい、今から、あ、はい、今から、あっ、あ、行きます──」


 ◆


 そして俺は、さっそくその店の風俗嬢とプレイする運びになった。


 なんと、出会った瞬間に風俗嬢は俺に全力でビンタしてきた。


「お前、顔面がクソ気持ち悪いんだよ! 死ね!!!!!」


 ──パチーン!!!!!!!!!


「えーん!!!!!!!!!!!!!」


 ビンタを食らった俺は膝を抱えて大号泣した……。涙が止まらない……!!!


「──えっ、あっ、ごめんね! 痛かった!? ほんとにごめんなさい!!!」


 嬢は、仕事上のキャラを忘れて、俺に謝ってきた。

 俺は立ち上がって言った。


「べつに、痛くないもん!!」

「ほんとにごめんなさい。もっと優しくするから!」

「えーん!!!!!!!!!!!」

「いい大人がいつまでも泣いてんじゃねえよ! 死ねえ!!!!!!!!!」


 ──ベチコーン!!!!!!!!!


 俺は、嬢にケツを思いきり蹴られた。


「うわあああああああああー!!!!」


 ──きらーん。


 俺は、遥か彼方、どこまでも飛んで行った。そして星になって、宇宙の藻屑となったのであった。


 ──享年26。


 ◆


 と思ったが、俺はなんとロシアのモスクワ・クレムリンの大統領官邸にたまたま落下した。

 目の前には俺の仇敵、ウラジーミル・プーチンが立っていた。もはやこの名を知らない者はいないだろう。意味のない戦争を始め、多くの人を不幸に追い込んだ悪魔だ。


「おい、誰だお前は! ふざけるな!」と狼狽えるプーチン。


「ふざけるな? そのセリフ、お前にそのまま返してやるよ!!!! 全てのウクライナ人の恨み、死んでいった全てのロシア兵の恨み、俺が全て晴らす!!!!!」


 俺はファイティングポーズを取り、プーチンに向かって走り、その顔面に渾身の右ストレートを叩き込んだ。


「ウクライナに栄光あれ!!!!!」


 ──ドカーン!!!!!!!!!!


 こうしてプーチンは俺に殺害され、ウクライナとロシアの不毛な戦争に終止符が打たれた。そして俺は救国の英雄として讃えられ、ノーベル平和賞を受賞したのである。








 おわり







【あとがき】


もう7月ですね。お元気ですか。

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