純文学

中型犬

純文学

珈琲を大きく吐いて夜を吸う蛍光灯が点滅してる

地下鉄にドッペルゲンガー窓枠の外の運河にさらわれていく

革靴のほらあなの奥 奥の奥 歪む視界に目薬をさす

週末の礼服であるパーカーでアクセルを踏む長いくらやみ

土砂降りが信号を待ち人間や人間以外を流そうとする

看板の文字がかすれてイラストがイラストとしてあまされている

雷にしたたる豪雨満月が闇の向こうで溶けだしている

こじ開ける必要のないカードキー感触のないことの救済

ふわふわな硫黄をまとう数え歌今は見えない星を数える

この夜の助走としての缶ビール生きてるだけで偉い、偉いよ

命から命をつなぐ土鍋から命を掬って命に浸す

湯豆腐と同じビートで震えてる胸に灯った火に手をあてる

日本酒が解毒していく純文学甲乙丙に表情がある

こんばんは福士蒼汰でございます是非劇場でご覧ください

朝焼けに緑茶が足され虹になる昨夜はひどい満月だった

暖かい海の記憶の浴場で微笑んでいるドッペルゲンガー

珈琲によく合う詩集にとても合うフルーツタルトにぴったりの俺

野良猫と陽だまり不可侵条約を結びたいけど威嚇されてる

アクセルにゆっくり沈む抹茶ラテ一時停止にゆったり止まる

革靴をふかふかみがく地ビールにエンドロールがもにゃもにゃにじむ

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