第3話 お題「好きな小説をリスペクトした小説」

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「っていう感じの話を優吾が2話ほどカクヨムっていう小説投稿サイトに投稿したけどあんまり評価が増えなくて悩んでるってことなのね」


 僕の幼馴染にして学園のアイドル、綾井エリカがスマホをスクロールさせながら僕が投稿した作品である「姉と幼馴染と僕のちょっとエッチな文芸部日誌~おっきさせた方が勝ちの文芸バトル~」を読んでいる。


「ふ~ん、思ったより文章は上手なのね。優吾ってそんなに成績もよくないし小説もむちゃくちゃなのかと思ていたわ」


 同じ文芸部の一年生なのに酷い言われようだが、エリカは入試の点数でトップ合格して入学式では新入生代表の挨拶をしたほどの才媛だ。美人な上にスタイルもよくて、バスト87㎝のおっぱいは男を誘惑するように形よく制服を押し上げている。


 僕と幼馴染の間だけの秘密だけど小学校の高学年の頃に膨らみ始めたその胸を小学6年生まで一緒にお風呂に入っていた僕は揉ませて貰ったことがある。


 小学生なのにすごく柔らかかったし先端の色は桜色ですごく綺麗だった。優吾は高校一年生なので小学6年生相手に欲情すると変態なのだが、あの姿を思い出すと興奮して硬くなることがある。


 一般的に女の子の方がおおむね性的なことに興味があり、男には奥手で性知識が少ないものが多いが優吾は数少ない例外だ。

 幼馴染のことが好きすぎて興奮してしまうのだ。


 幼馴染の方も男への興味からか、小学生の低学年のころ女子の間で流行ったから優吾のおちんちんにハマり、逆に他の女子には指一本触れさせないという独占欲の強さを見せた。


「ねぇ、ところで優吾、このあなたの書いた小説なんだけどなんでが出てくるの? この女のモデルは誰?」


 エリカが横目で優吾に問いただす。おおむね現実に即して文章を書いていたはずの優吾が生み出した架空の人物。


「ひょっとしてツインテールの黒髪の女の子がお好みなのかしら? この矢沢優香って女の子が優吾の理想の女の子なの?」


 優吾の顎をクイッっと持ち上げながら妖しく微笑むエリカ。その手には演劇部から借りてきたウィッグが握られていた。


 茶髪でポニーテールのエリカが自分の髪の上からウィッグを被ると黒髪のツインテールの女の子が現れた。


「まあいいわ。優吾が好きな女の子は私だけでいいんだから、つまり私が矢沢優香という女の子まで一人二役すればいいのよね。まあ、巨乳の私じゃペチャパイロリキャラの矢沢優香になりきることはできないかもしれないけど、そこは巨乳の方がいいって思わせてあげる。だってロリキャラじゃこんなことできないでしょ」


 そういうとエリカは優吾のズボンのファスナーを下げて大きくなったものを小学生の頃よりも大きく成長した自分の胸で挟むのだった。


 エリカの胸は天国みたいに柔らかくて僕は何度も果てて搾り取られた。

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「ちょっと待ちなさいよ。なんで私が3話目でいきなり架空の人物だったみたいにされて消されかけてるのよ」


 目の前で僕の実の姉である矢沢優香が怒り狂っている。今日の部活でエリカが一番最初にお題に即した小説を提出して前フリもなしに作品を始めたせいだ。

 いつものように-----から-----の間がエリカの小説だ。


 今日のお題は「好きな小説をリスペクトした小説」だ。珍しく僕の書いたお題札が引かれた結果でもある。


 姉と幼馴染と僕の文芸部での活動は毎回お題を準備しての文芸バトルをするのだが、お題のうちの姉と幼馴染の二人分がチョイエロ、微エロ、もろエロのいずれかで、毎回僕が一生懸命考えてきているお題が選ばれたことはなかったので小躍りするほどうれしくて原稿用紙30枚分の力作を仕上げてきてしまった。


 今日はトランプで数字の大きい方から朗読するというルールで始めたのだが一番目にぶっ込んできたのがエリカの冒頭の作品だ。


「あれ? SF原理主義者の狭量な世界観ではアンチミステリと呼ばれる芳醇な世界をリスペクトした私の作品は理解できませんでしたか? 中井英夫の「虚無への供物」や竹本健司の「匣の中の失楽」みたいに作中作を用いて前章をひっくり返して見せることによって読者に驚きを与え謎を産みだしていくのは小説という文章を使ったメディアならではの可能性の追求だと思いませんか?」


 えっと、懸命な読者の皆さんはもうお分かりかもしれないが僕の姉の矢沢優香はSFオタクで、幼馴染の綾井エリカはミステリーマニアである。


 僕はラノベが好きで、姉にSFを勧められてはSFを読み、幼馴染にミステリーを勧められてはミステリーを読むという感じで乱読派という感じはなっている。


 そもそもラノベはSF要素が強いものやミステリー要素が強いものまで色々出ているのだ。つまりラノベが最強!?


 直木賞もとっている米澤穂信の古典部シリーズだって第一作目と二作目は角川スニーカー文庫から出ているし、これまた直木賞を取っている桜庭一樹のデビュー作もスーパーファンタジー文庫でゲームのノベライズだ。


 ……と話題がそれた。


 僕がラノベのことを考えている間に二人の議論はだいぶ進んでおり、世界改変やループ物といったSFの話題になっていたようだ。


「それで今日の優香部長の選んだSFは何ですか?」


 もうすっかり作品を読んで批評するんじゃなくて場外バトルになっている。


「小川一水の「時砂の王」と山本弘の「去年はいい年になるだろう」よ。

 見て見なさいよ。SFの面白さを思い知らせてやるんだら」


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  (中略)

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 冗長だった。死ぬほど冗長な繰り返しの中で僕と優ねぇがただひたすらエッチするだけの小説。

 これはひどい。


「ゆ、優ねぇこれは……?」


「ひ、久しぶりにここまで酷いのを読まされたわ。優香部長、いえ優ねぇ、ちゃんとプロットは作ってるの?」


「へっ!? け、傑作の予感がしたからそのまま何も考えずに一ページ目から……」


「アウト! もう、ただループするだけの小説が面白いわけないでしょ。ループのタイミングが優吾の射精で優吾の赤ちゃんを優ねぇが孕むまでループするだけの小説なんてどれだけ弟の子供を孕みたいのよ、このブラコン!」


「う、うぐぅ」


 優ねぇがぐうの音も出ないくらいやり込められたのは初めて見たかもしれない。


 よし、今日は最下位はないな! 罰ゲームが回避できれば……いや、エリカの小説だって別にすごく面白い仕掛けがあったわけじゃない。


 初勝利! 見えた! 僕のリスペクトする小説が負けるわけがない!


「これが僕の小説だ! タイトルは「異世界でチート能力を手にした俺はユニークスキル「無双」を使って女の子を全て手に入れてテイムする学園では不適合者だけど俺だけ開ける異世界道中記」

 フハハハ、僕の考えた最強スキルと必殺技に震えるといいよ!」


「読むまでもないわね。いいわ、今日はエリカに勝利を譲ってあげる」


「ありがとうございます、優香部長。それじゃあ鍵は私がかけて帰るんで……さようなら」


 カラカラカラ……


 優ねぇが出ていた部室。椅子に腰かけて敗北のショックで呆けていた僕の前で黒いツインテールのウィッグを被ったエリカが制服のボタンをプチップチッと一つずつ外している。


 僕が敗北のショックから立ち直った時にはエリカの87㎝、Eカップおっぱいで何度も搾り取られた後だった。



 Fin.


 --あとがき--

 不定期連載第3話になります。

 前の2話があまりにも文芸部員らしさがなかったかと反省して今回は文芸部員っぽい会話もしていますがどうだったでしょうか?


 あと毎回書かないと分かって貰えないと思うので書きますが、この三人がいる世界は貞操逆転世界です。女の子の方がエッチに積極的、男の子は基本受け身で優吾君は珍しい性欲が強い(強くなるように小さい頃から調教された?)タイプです。


 一応拙作「幼馴染を寝取られたが貞操逆転世界でハーレムを作って幸せになりたいと思う」のスピンオフということになっているのでもうちょっと本編キャラと絡ませたいところ。


 作者の息抜き小説なので暇なときにでもお読み下さい。

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姉と幼馴染と僕のちょっとエッチな文芸部日誌~おっきさせた方が勝ちの文芸バトル~ みどりの @badtasetedog

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