第2話 配信版「僕の釣り竿を掃除するだけの話」

「優吾部活よ。文芸部に来なさい」


 放課後の1年の教室で男友達とだべっていた僕のところに優ねぇがやってきた。

 今日は部活はないって話を同級生で幼馴染のエリカから聞いていたからちょっと怪訝な顔をしてしまう。

 僕の友達もいきなり来たツインテールのロリ系美少女にドギマギしている。


「あの子から休みって聞いていたのね。エリカは今日はお休みよ。私たちは部費を確保するために戦略を練るから部室に行くわよ」


 姉の命令はほぼ絶対なので諦めて部室についていくことにする。優ねぇに気付かれないように歩きながら後ろ手でエリカにメールを打っておく。


「部活ある」


 画面をチラチラしか見れなかったのでこれしか送れなかったが、幼馴染との絆にかけるしかない。


 カラカラカラカラ~


 文芸部の部室につくと優ねぇが引き戸を開けた。


 すると部室の奥に白無地の大きな布のような物が下げてあって、手前に大きなライトが2脚、iPhoneが三脚に固定されている。


 白地の布の前には学校で使う机と椅子が置かれていてそこに座った人間の姿を撮影、もしくは配信するセッティングが出来上がっていた。


「じゃーーーーん、隣の光画部のみおちゃんに手伝ってもらって作りました。朗読配信用スタジオでーーーす」


 優ねぇ両手を広げてスタジオ?を紹介する。みおちゃんというのは隣の光画部に所属している藤岡みお先輩、淫スタグラマーで淫フルエンサーとして名をはせるこの学校の有名人だ。


「機材はほとんど借りたのでお金はかかってません。今から文芸部で朗読配信をして広告収入で部費の不足分を稼ぎたいと思います」


 あああ、うちの姉らしい短絡的なことをやっぱり考えていた。


 自分の作品をネットの小説サイトに公開しても閲覧数が増えないからって、ならば配信だって……短絡的すぎるだろう。


「ところで優吾はこっちの普通のマスクとこっちの仮面、顔を隠して配信するならどっちが好み?」


 不織布の普通のマスクとベネツィアの仮面舞踏会で付けそうな怪しげで華やかな仮面。

 優ねぇが不織布のマスクで配信するとちょっとロリっ子がやましい配信してる感じになりそうなので怪しげだが華やかな仮面の方が良いかもしれない。


 まあ姉の尻拭いをするのは弟の仕事と認識しているので仕方ない。姉が席について朗読を始めるのを待つことにする。


「何をボーっとしているのよ。早く席について。じゃあこっちの仮面の方がいいのね」


 無理矢理仮面を装着される。怪しすぎるだろ。それに僕が席に座って配信するの?


「うん、イイじゃない。こうやって見ると優吾の優しい目元が見えなくなって可愛い感じが隠せてイケメンって感じで、これはバズるかも」


 とにかく姉のひいき目が凄い。ひいきの引き倒しだ。


「それじゃあ原稿はこれね。朗読劇だから前に読んだ時と同じように優吾は地の文と優吾のセリフを読むこと。それと作中の登場人物は私たちの身バレを防ぐために優吾は「U-GO」で私は「Uねぇ」だからいいわね?」


 うちの姉はIQが高いのにアホなんじゃないだろうか? 発音がそのまんまでなにが身バレ防止になるんだろうか。学年でも上の方の順位というのが嘘じゃないかと思う。


 原稿を渡される。想像はしていたが先日の文芸バトルで読まされた優ねぇの書いた「僕の釣り竿を掃除するだけの話」だ。


 これを朗読劇にするとか本気なのか? 身内だから釣り竿オチでいいけど配信で釣り竿オチとか通じると思ってるのか?


「それじゃあ優吾、10秒後に配信開始だから何があろうとしっかり読みなさいよ。途中で何があっても配信を止めるなよ。部費のために頑張りなさい」


 ●REC 配信開始「僕の釣り竿を掃除するだけの話」

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 僕の名前はU-GOゆうご。この高校に今年入学したばかりだけど姉であり恋人でもあるUねぇゆうねぇのいる文芸部に入学早々入部することになった。


 少しオタク気質だと思うけどUねぇゆうねぇからは可愛い顔をしているから他の女の子に手を付けられないか心配だって言われている。そんなにモテないと思うんだけど。


(優ねぇ……こんな感じでいいの?)←アイコンタクトでやりとりする。

(大丈夫!)


 Uねぇゆうねぇはちょっと背が低いけどものすごい美少女でその綺麗な長い髪をツインテールにくくっていてまるでお人形さんみたいな人だ。多分この学校で一番かわいいと思う。


 もっともおっぱいはすごく大きくて何度揉んでも揉み飽きないほどのナイスバディだ。僕はお姉ちゃんのおっぱいが大好きだ。


(こんな嘘配信して恥かくのは優ねぇだよ)

(うるさい! 身バレしなければ大丈夫)


 そんなUねぇゆうねぇが文芸部の部室で僕に近づいてくる。


 白魚のような細くて綺麗な指がファスナーを開けていく。


(ちょ、優ねぇなんでカメラに映らなところで僕の前に跪いてるの? ダメだって)


 ジーーーーーーー


 全開になったファスナーからUねぇゆうねぇが僕の竿を取り出す。縮こまっている僕の竿。


(ちょっと!? 優ねぇ……ナニしてるの? 流石に不味いって。ああ、吐息が当たって……)


「ふふ、U-GOゆうごの竿、可愛い。今からじっくり綺麗にしてあげるわね。こんなに汚しちゃって……本当にイケナイ弟なんだから」


 Uねぇゆうねぇが舌なめずり線ばかりの目つきで僕の竿を眺める。慣れた手つきで竿の先端を扱く。


「ちょ、ちょっと待って。ゆ、Uねぇゆうねぇ……恥ずかしいからそんなに汚れてるところ見ないで。自分で綺麗にできるから」


(毎日きちんと洗ってるけど僕のは帽子をかぶってるから……ダメ。ああっ)


 サボっていた僕が悪いから、Uねぇゆうねぇにそんなことはさせられない。


「いいのよ。私がやりたくてやってるんだから」


(ちょっと待って、優ねぇ本気!? そろそろ接続してる視聴者がいるんだよ)

(見てもらうために配信してるんだから当たり前でしょ)


            《なんかかわいい男の子が配信してる》

            《マスク可愛い、口元優しそう》

            《エッチなの期待》

            《男子脱いで!》

(コメント来てるって)


 妖艶な目つきで僕の竿を眺めるとUねぇゆうねぇは制服のスカートのポケットからシルク(?)のような光沢のある布を取り出すと僕の竿を布で包むようにして軽く手で握ると前後に擦りだした。


(ちょ、待って!? なに脱いでるの?)

(スルスル……ぎゅぅ♡)


「脱ぎたての方がU-GOゆうごは良かったかしら?」


(巻きつけられた布が何か温かくて……それにすべすべしてて)

(お姉ちゃんのアソコの体温感じなさい)


 みるみる伸びていく僕の竿。


            《僕の竿だって……エロっ》

            《おちんちんって伸びるの?》

            《エッチなの期待》

            《上半身だけじゃなくて下も映して》


「ああ、ダメだよ。Uねぇゆうねぇ、こんなところでそんなに伸ばさないで」


「ここじゃなければいいの? 私の部屋とかU-GOゆうごの部屋? そんなこと言ってもU-GOゆうごの竿こんなに硬くなってる。先っぽはこんなにしなやかなのに」


(ちょっと……配信中に本当に握っちゃダメだって!?)

(ぎゅぅ♡)


 そういうとUねぇゆうねぇは先っぽをツンツンする。Uねぇゆうねぇの手が下の方に伸びると竿にくっついた出っ張っている部分を弄りだす。


「あ、ダメだよ。そんなに強く触ったら。そこは敏感なところだから。」


(いや、本当に敏感だから!!)

(モミモミ♡)


            《くっついた出っ張りって……タマタマ?》

            《たまたまってやっぱり敏感なんだ》

            《エッチになってきた》

            《キンタマ映して》


「だからしっかり綺麗にしないといけないんでしょ。私に任せてU-GOゆうごは大人しく見てればいいから」


 ゴシゴシ

(シッコシッコ♡う~ん、思ったより滑りが悪いわね……仕方ない私のヨダレで……)

(ダメだって優ねぇ、刺激が強すぎるから)

(れろぉ……ぽたっぽたっ)


 Uねぇゆうねぇの手が激しく動く。その時部室をノックする邪魔者が。


(お、滑りが良くなったわね。これなら動かしやすいわ。どう優吾?)


 コンコン

            《いいところなのに邪魔が入るの?》

            《U-GOくんガチでイキそうな表情でエロい》

            《ムラムラする。オナりながら見よ~っと》

            《射精が見たい》


 ノックの主はこちらの返事も待たずにカラカラと部室の引き戸を開ける。旧校舎の文芸部室の戸は引き戸になっている。


「え!? U-GOゆうごUねぇゆうねぇ……こんなところで何をしているの? 竿なんて握ってここは文芸部の部室よ?」


 入ってきたのはU-GOゆうごの幼馴染であるエリィだ。地毛である茶色い髪をポニーテールにくくっている。顔は十人並みだが、愛嬌はあるのでまあまあ可愛いと言える。


            《幼馴染乱入!? 修羅場? 修羅場なの?》

            《U-GOくん、幼馴染にかけちゃうパターン?》

            《あ、私もイクっ》

            《何メートル飛ぶの?》


 驚いた顔をしているがいきなりエリィが入ってきたために驚いたUねぇゆうねぇが手を滑らせて強く竿を握ってしまう。


(イっちゃえ!)

(ダメだって優ねぇ……イっちゃう!)


 その瞬間に竿の先端から白い糸がビュルルルと伸びてエリカに絡みつく。


(ビュルッビュルルルゥ)


「キャッ(んぐっ……じゅるるぅ)」


            《姉飲んでる?》

            《ゴックンしたの?》

            《はぁ~イキ顔の男の子見ながら賢者タイム最高》

            《お口の中の濃ゆいのカメラに向けて》


 白い糸に絡まったエリカに僕が謝罪すハメになったのは絶対Uねぇゆうねぇのせいだけど、Uねぇゆうねぇのことが大好きな僕はヤレヤレとため息をついた。


(ネバネバ~)

(ヤレヤレじゃないよ……同接 108人にイキ顔みられちゃったよ…涙)

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 カラカラカラ~


「優吾大丈夫!? なんなんですかこれは? 優ねぇ!? 部室で何飲んで!」


            《リアル幼馴染乱入!? ガチの修羅場? 修羅場なの?》

            《U-GOくんが好きな幼馴染? 姉NTR?》

            《私も乱入したい♡》

            《住所特定したい》


「ちょ、エリカ!? 配信中だから」

「配信って?…優吾なにおちんちん出してるの?あっ」ガチャン!


「ちょ、三脚が倒れて」

「優吾とにかく配信切って。画面におちんちん映っちゃってる!?」

「優吾大丈夫? 優ねぇなに言ってるの? 配信?」


 結局最後はドタバタになってしまった。

 この後、アーカイブで何回再生されるか分からないけど、アクシデントで一気に伸びた視聴者によって僕のあそこは300人以上に見られちゃったことになる。


 うう……お婿にイケナイ。


〈この日の配信結果〉

 配信時間 25分30秒

 アーカイブ 20分(最後の5分間のアクシデントはカット)

 同時接続 最大 308人

 コメント 1425



 Fin.



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「姉と幼馴染と僕のちょっとエッチな文芸部日誌~おっきさせた方が勝ちの文芸バトル~」第二話でした。


 朗読配信で事故を起きた放送事故の話でした。

 ※拙作「幼馴染と…」のスピンオフなので貞操逆転世界です。なので女性視聴者が男の子のエッチなところを期待して動画を見ている状況です。


 本編が余裕がある時に続編書いてみたいかも。不定期連載ということで完結にはしないでおきます。


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