花を織り歌を紡ぐ、短歌二十首。
睡密堂 蓮
花を織り紡ぐ歌
ビロードの質感をして薔薇の花煙りのような霧雨を受く
百合の花枯れることなく咲き誇れ世界が終わるその後までも
悲しみはカサブランカの白よりも冷たく硬い骨壷の色
白木蓮こぼれるような花びらのふくよかなるは油絵の白
咲き初めの椿は赤く艶めいて灰を含んだ冬を彩る
白椿首ごとぽとり落ちたとて紅く染まれるわけでも無しに
死ぬならば白き枝垂れの梅の花揺れるのを見た朝に逝きたい
駅前の河津桜がひらひらと散りゆくごとに春加速する
紫と黄色のチューリップの並びサイケデリックかなり最高
藤棚を飛び出し横の木に絡むつる新緑に紫弾む
花菖蒲健やかであれ子供らよかつて子供であった者らよ
芳しき
泥の中咲かんと藻掻く蓮の花ひらけ誇れよ
雨の中紫陽花の小径をぬけて夏へ踏み出すサンダルの足
朝顔が咲いてるうちに行きましょう夏の朝こそ光る宝石
朝顔と向日葵の種だけを残し積乱雲と共に逝く夏
彼岸花咲く頃風は涼やかに秋空は青く高く広く
オレンジの花は可憐に秋風に揺れて金木犀は芳し
フォーゲット・ミー・ノット私を忘れないでねと花言葉だけ知る花
沙羅双樹見たこと無いけど知っている多分諸行無常の意味も
花を織り歌を紡ぐ、短歌二十首。 睡密堂 蓮 @suimitudou
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