Day28「方眼」

 絵に『は』興味ない。それは見る方も描く方も。


 美術の授業は履修したが、面倒だったなという感想くらいしかない。

 クラスメイトが制服に絵の具を巻き散らして親に怒られたとか、くだらない話をしていたのは覚えているのだが。


 いや、ひとつだけ。模写の授業だけは覚えていた。あれは美術というより数学的というか、毛色が違っていたから。


 名画を格子状の直線で区切って、同様に格子状の直線で区切った画用紙にパズルのピースを当て嵌めるように描き写していく。


 上手い下手はさておき、あれは理系っぽい作業で嫌いではなかった。



 ただ彼女はそれでも苦戦しそうだなと横目で伺う。

 彼女は今まさに方眼紙に定規使っても直線を引けず唸っていた。凄いな。

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