Day27「渡し守」

 三途の川の渡し賃は六文銭だが、ギリシャ神話に出てくる冥界の川の渡し賃は一オボロスだという。

 具体的にどのくらいのお値段かは知らないけれども。


 それを地獄の渡し守、守銭奴との噂もあるカロンに渡せば無事突破。


 払わないと渡り切るのに二百年かかるというから恐ろしい。


「という訳で、古代ギリシャでは死者の口に一オボロスを……って何その顔」


 まさしく苦虫を噛み潰したみたいな顔してるけど。


「こっちに尻向けてる全裸の男が守銭奴の渡し守だって聞かされて、どんな顔すればいいんだ」


 確かに笑顔で聞く話でもないか。


「でもさ、この絵のカロン、いい尻してるよね。筋骨隆々!」

「し、尻とか言うな!」


 先に言ったのはそっちのくせに何なの。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る