　一目見て心奪われる絵は分かりやすい。

　一方で、初見時のインパクトはなくても、後からじわじわと心に侵食してくるタイプの絵もある。

　最終的に長く心に留まるのは後者の方。

　何故か忘れられない。気付けば、その絵のことばかり思い出して、一見で好きだと思っていた絵を彼方へ追いやってしまう。

　まるで遅効性の毒みたい。静かにじっくりと心を侵して、自覚する頃には既に手遅れ。何故あのときポストカードを買っておかなかったのだと歯軋りする羽目になる。

　でも、そういう経験もいいものなのだ。

「成程」

　わたしの力説を聞き流してたかと思っていた彼がひとつ頷いて。

「俺もそういう攻略を目指すことにする」

　不思議な台詞を吐いた。

　ゲームの話かな？

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