Day24「ビニールプール」

 彼女曰く。


 友人があろうことか学部棟の奥側、死角的な所にビニールプールを広げていたという。子どもたちの水遊びに使うあれである。


 友人曰く。


「あまりに暑いので涼もうかと」


 彼女が言う。


「まさか水着になったりしないよね」


 更に友人。


「私もそこまではしない。足を浸けるだけだ。足湯ならぬ足水だな」


 彼女。


「足水」


 初耳の単語だが、彼女はツッコミを入れなかったらしい。


「折角だ。一緒に入ろう」

「はい?」

「冷たくて気持ちいいぞ」

「はあ」


 という訳で、今に至るらしい。


「分かってくれた?」

「分かる訳ないだろう!」


 姿の消えた彼女を探していたら、こんな辺鄙な所で足をめいっぱい晒して水遊びしている二人を見つけたこっちの身にもなれ!

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