Day7「酒涙雨」

 折角の七夕なのに朝から雨。梅雨はまだまだ明けそうにない。

 夜もきっとこのまま雨だろうなあ。気が滅入る。


 絵を見ればテンションは上がるけど、こうも雨が続くと絵によるドーピング効果も長くは続かない。絵画に湿気はよろしくないし。悪いことばかり。


 早く明けてよ梅雨。


「織姫と彦星もこう雨ばっかりだと会えないだろうし」


 独り言のつもりだったのに、隣で椅子をガタンっと鳴らす音がした。


 はい?


 隣には何故か例の彼がいた。


 いつから隣にという疑問は、彼の怪訝な表情で吹き飛んだ。


「何その顔」

「いや、そんなファンタジーな話を口にするとは思わず」

「わたしを何だと思ってるのよ」


 彼は真顔で言った。


「絵にしか興味ないやつ」


 否定できない!

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