Day3「文鳥」

「え、文鳥って円山応挙まるやまおうきょの?」


 絵には興味ないと断言する彼から円山応挙の名前が出るなんて!

 とつい興奮したのだが、彼は怪訝な顔をして「まるやま?」と聞き返してきた。


 あれあれ。


「え、だって文鳥って言うから」

「誰が絵の話をした。文鳥が逃げ出したって話。そもそも誰だ、そのまるやま何とか」

「円山応挙!薔薇文鳥っていう神絵があって」

「知らない。それより俺の話聞いてたか?」


 えっと、文鳥が逃げたとかいう話だっけ。彼のツッコミから察するに。

 ペットが逃げたってことは大ごとじゃ。


「きみも大変だ」

「俺のじゃない。同期の奴の。見かけなかったかと聞いただけなんだが」


 全然俺の話聞いてないんだなと盛大にため息を吐かれた。


 何でだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る