最後に

振り返って&ご挨拶

 というわけで夫が社員旅行から持ち帰ったコロナは家庭内に広がることなく、なんとか夫一人が苦しむだけで終わりました。南無。


 ですがこれは、わたしが消毒をがんばりまくったからというより、いろいろな運の良さが重なった結果だと思います。


 一つは、夫が社員旅行から帰ってくるとき、帰宅する前の時点ですでに症状があったから、すみやかに隔離準備を行えたということ。

 症状がなければ「夫は移らずに済んだかな? これまでも濃厚接触者に二回くらいなっていたけど切り抜けてきたしね~。ワクチンも打っているし」と油断して、普通に家族の生活圏内に夫を迎え入れていたはず。

 新型コロナウイルスは発症の2日前にはもう、感染者本人から周囲にばらまかれている状態なので、そこを完全に防げたのが一番運がよかったところです。


 二つは、夫が隔離に積極的だったこと。

 夫がコロナに罹ったときX(旧Twitter)にて、その旨をつぶやいたのですが、わりと感染者たる夫or父がおとなしく引き籠もらず家中を出歩いた結果、家庭内感染が起こったという報告を何件かいただきました。

 うちの夫はそれを聞いて「感染しているのに家の中を歩く奴なんかいるの?」と愕然としていましたが、意外とそう思うひとのほうが少ないのかもしれません。

 5類になったことでいろいろ緩和されて、より隔離に積極的になれないひとも多いのかなとも思ったり。


 三つ目は、仕事復帰した夫がなるべく家にいないようにしてくれたこと。

 会社のシャワー室でお風呂を済ませてくれたり、朝ご飯はわたしが前夜に作っておいたおにぎりを食べるだけにしてくれたり、昼ご飯と夜ご飯は外で済ませてくれたりと、とにかくわたしの負担を少なくするためにがんばってくれました。


 10日目あけに残っていた嗅覚や味覚の「?」程度の異常も、このエッセイを書いている2023年8月6日現在、まったくなくなったそうです。健康そのもの。

 ワクチンを三回打っていたからか……とも思うのですが、ワクチンは最後に打ったときから半年もすると抗体がなくなっちゃうみたいなので、あんまり関係ないかなとも思ったり。

 本人のもともとの頑健さと、5日間しっかり療養したのがよかったのかなと思います。

 後遺症は今のところまったくありません。一ヶ月経ってなにもないので大丈夫かなと思いつつ。連日かなり暑いので、熱中症とかのほうがむしろ心配になってきますけどね。


 子供たちもそれぞれ生活面、学習面、学校面でなんやかんやありますが、健康に関してはまったく問題がないのが救いです。7月いっぱいまで子供の感染症が大流行していましたが、いずれに感染することもなく夏休みに入れたことは幸運でした。


 無論、コロナになったことで購入したものも多くあり、検査薬とパルスオキシメーターだけでも諭吉が一枚飛びましたし、消毒液やら手袋やら使い捨て食器やらたくさんのものを買ったので、出費は待ったなしでした。

 そういう意味でも「病気になんてなるもんじゃねぇ」と心から思ったものです。


 残る問題は、結局夏休みに入るまでに全然終わらなかった8月末〆切のわたしの商業誌原稿が、今をもってもまったく進んでいなくて終わる気配がないことくらいです。

 だいたい8月末日に終わっていないのは子供の宿題ではなく、わたしの原稿というのがここ数年のデフォです。


 無事にこのエッセイが完結を迎えましたので、甲子園なんか見ていないで必死にがんばろうと思います。

 ここまでお付き合いいただきましてありがとうございました。皆様も新型コロナウイルスをはじめ、各種感染症にはどうぞお気をつけくださいませ。

 同時に、子供の夏休みのおかげで「原稿終わらねぇえええ!」と死にそうになっているママさん作家様たちに、心からのエールをお送りいたします。みんな、生きて。


            ――2023年8月6日(日)

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夫がコロナになりまして。 佐倉 紫 @yukarisakura29

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