第5話 コロナもゲームも無事クリアです。
「いやぁ~お疲れ様でしたよ10日間。ところで夫氏、症状は今のところどんな感じだい?」
寝かしつけを終えて居間に戻ったところで、ゲームをやろうとしていた夫に問いかける。
「もう喉痛いのとかもなくなったよ。普通に動けるし。腰が痛いのはまぁ、いつものことだから」
「確かにね。味覚とか嗅覚とかはどうだい? 鼻づまりとかは?」
「それがねぇ……鼻づまりがあるのかな、臭いがね、全体的に薄い感じ? 感じにくいときがある」
「ほう」
「味覚もね、鼻がそんな感じだから、気のせいレベルかもだけど、ちょっと『あれ?』ってなるときもあるかな。食べるものにもよるんだけど」
たとえば先日食べた鯖の味噌煮は、鯖の旨味はちゃんと感じるんだけど、味噌の風味がいつもより感じずに「薄味……?」と首をひねったらしい。
「味はするにはするんだけど、薄いというか、一部の味がぼやけている感じなんだよね。あ、でもチキンカツもナスも普通に美味かったよ。ナスはいつもより薄味だった?」
「いんや、いつもと同じ味付け。そしてわたしの味付けは総じてしょっぱい」
「だよね。じゃあやっぱり味が薄く感じるようになってるのかも」
完全に味がしないとか、しても変な味になっている(本来甘いものが苦く感じたり)ということはないみたいだから、よかったと言えばよかったレベルか。
「おいおい治ればいいけどね。一生そのままだったらどうするよ?」
「うーん……ちょっとつらいかも」
濃い味が少し感じられなかっただけで大食らいの夫がこうなるんだから、重度の味覚障害の方の心労を思うとやるせないな……。嗅覚だってないと生活自体が結構大変になると思うし。
そんなことを話ながらもゲームをプレイし続けていた夫、いよいよラスボスの下にたどり着き戦闘開始。
HP足りずに一回ゲームオーバーになったけど即リトライし、見事ラスボスを撃破。
わたしよりあとにこのゲームをはじめたはずの夫が先にクリアしちゃうとはね。
「ああああ、落ちてる落ちてる! なんてところで目を覚まさせるんじゃ、めっちゃ上空じゃんか! ほらヒロインが落ちてる追いかけろおおお!」
「へいへい」
「手を掴んだはいいけどこの高度から池に落ちたら死ぬよね!? なんで二人とも生きてるの!?」
「そういうゲームだから」
「おお、エンドロールが流れてくるね……このあともムービーあるのかな?」
「あるんじゃない?」
「あったね。……ふむふむ、なるほど、そういう事情でヒロインは戻ってくることができたので」
「そうだね」
無事にエンディングムービーまで見終えて「いやぁ神ゲーでしたな」と夫がうなずくその横で、
「……納得がいかない! ラスボスを倒してからこそ、このゲームの第二章ははじまるところなんじゃない!? なのに上手いことご都合主義でラスボス倒したら全部解決~! ってエンドにしやがって!! 駄目じゃんコレ! こんなひ弱なエンドでユーザーが喜ぶと思ってんのか! 断固抗議する! わたしがシナリオを書く人間ならここからさらに第二章の続編を書くぅううううううう!!」
だんだんだんと地団駄を踏んで大騒ぎする妻。
夫は生ぬるい目で見つめながら「こんなきれいなエンディングに文句言うの、ゆかさんくらいだと思うよ」と冷静に返事をしていた。
とはいえこのゲームが神ゲーであることは間違いないので、まだプレイしていないひとは是非やってみてね。『ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダム』を!(もはやエッセイとなんら関係ない推し活)
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