第4話 チキンカツは幸せの香り。
夕方になってチキンカツの仕込みをはじめながら、風呂を沸かし、子供たちにさっさと入れと促し、や~だよ~と反抗され(ムカつく)、なんだかんだありまして夫が帰ってくる時間になった。
「ただいま~」
「あ、パパだ」
「パパがいる」
「そんな熊が出た見たいな反応するんじゃないよ子供たち。まずはお帰りなさいでしょう」
「おかえり~」
「かえり~」
「はい、ただいま~」
ということで家族四人が無事に居間にそろっ……。
「いや、そろう前に風呂入ってきて夫氏。かなり臭うぞ。そういう季節になったよね」
「へーい」
感動的な食卓の前に臭いを落としてもらわないと、せっかくのチキンカツの香りが汗臭さに負ける。
ということで夫にはすみやかに入浴していただき、風呂から上がってくるタイミングで晩ご飯になった。
「はい、○市の好きなキュウリの和え物ね。あとナスの煮浸し、チキンカツ」
「ナスの煮浸しだ~!」
夫が一番テンション高く食らいついている。
野菜嫌いの娘はカツしか食べん。ちっ。
息子は息子でキュウリを独り占めすんな。カッパか。
「それはそれとして、別々にご飯を運ぶのも面倒だったから、一緒に食べてもらえるの楽~」
「本当に大変だったよね。おれも○亀製麺にも、きらい家にも飽きてきたから、ナスが食べられて嬉しいわ」
毎日外食続きも大変だったわね、夫氏。君もよく頑張ったよ、本当に。
(ああ、もう夫がトイレに入ってもお風呂に入っても消毒しなくていいんだ……! なんて、なんて快適で素晴らしい生活……! こんなイージーモードな人生があったなんて……!)
感動しすぎていちいち感想がデカくなりがち。はぁ、本当に大変だったんだもんよぅ。
「こっちの部屋で寝るの久しぶりすぎる~」
就寝時間になって寝室に移動した子供たちも感慨深げ。
「もうウイルス残ってないよね? マスクなくてもいいんだよね?」
「うん、大丈夫。ママが昼間に手が届く範囲は全部消毒したから」
「はぁ、よかったねぇ」
そう言いながら子供たちも寝てくれた。はぁ、本当によかったねぇ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます