学園七不思議を見事にミステリに昇華した一作

本作は学園七不思議にまつわる事件の謎を解き明かす、本格派学園ミステリである。

文体は硬派、ロジカルで、能楽や民俗学などの造詣の深さが感じられる、ビターで大人物の一品である。

民間伝承には様々な意味合いが込められている。ひとは伝承に何を託すのか、伝承に謳われる内容にはどんな背景があるのか。
本作は、そのような民俗学的視点から学園七不思議を探り、それにまつわる事件に迫る。

正統派ミステリで、構成も巧み、過不足がない。キャラクターも容姿など描写が特にないのに、生き生きとイメージできる。
没入して読書の楽しみに耽ることができる作品。