姫烏頭蒼雪の手帳(抜粋)
【月波見学園の
設立から五十年ほどで二件。うち一件についてはあの男の日記参照。
周辺の未解決事件を調べたところ、関連性のありそうなものは特になし。
学園内だけで完結していると思われる。ただし学園内ということは、
【死亡事故】
五月十八日木曜日、
朝のホームルームにも竹村は姿を見せず、担任がルームメイトに確認。早朝に出て行ったきりだと発覚し、用務員に捜索を依頼した。
第一発見者は用務員の
警察を呼んで調べたが、事故の可能性が高いという見解。階段から足を滑らせて落ちた可能性。
(以下個人的見解、状況によって書き換えること。)
七不思議の十三階段ではない場所、確かに雨の日には滑りそうな階段ではあった。
階段が綺麗すぎる?
自分でも確認してみたが、やはり綺麗すぎた。
二件は失踪事件だったのに、なぜ今回だけは殺人事件なのか。
誰かに知らせたいことでも?
雨と十三を
【七不思議】
むっつめだけがおかしい。
ひとつめとふたつめは関係がない。ただし、むっつめとは異なりこれが正式なもの。
正式なむっつめがどこかにあると思われる。そうでなければ意味が通じないものになってしまう。
失踪事件には確実に猿が絡んでいるが、竹村殺しだけは猿の犯行としてはおかしな部分がいくつかある。
そもそも、猿が犯人ならば階段の下に死体を転がす意味がないのだ。猿はおそらく、七不思議に人を近付けたくはないのだから。
【
猿は猿。猿が誰なのかは分かっている。けれどそこに別の思惑が絡みついている気がしてならない。
そもそも、竹村殺しは本当に猿の犯行なのか?
あの男の日記の内容が正しいのならば、猿は竹村を殺せない。猿に染み付いたものがあるからだ。
藤戸の母は仇討ちをする資格がない。同様にして、誰も仇討ちをする資格はない。
ただおそらく、藤戸が放下僧になった。藤戸の後場が始まるわけもない、この世に怪異も幽霊もないのだから。
ただし、放下僧であったとしても、やはり仇討ちをする資格はないのだ。演目が変わったところで、卑属が尊属になるわけではない。
幽霊がもしいたとしても、人はそれを視る目を持たない。ワキがいなければ、誰もシテを視ることができない。失踪者の霊が語ることはない。
幽霊に聞けるのならば、能楽のように語るのならば、事はもっと簡単だろう。まことは我はと語り、その当時のことを語ってくれるのならばどれほど簡単か。
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