彩イロもらった君に贈る為の物語

彩芽綾眼:さいのめ あやめ

会う権利なんてないかもしれないけどね「君に会いたくなったんだよ」

医師が告げた「余命2ヶ月」穴の空いた 無機質な時間 最後の気持ちは



蒼い君 会いたい気持ち 揺れ動く 触れるべきか 分からない



白い壁 白い空調 白い布団 運ばれてくる 無機質な飯



流し込み 思い出すのは 君のこと 流れる泪 震える唇



無意識に 止めぬ思い 食いしばり 布団で悲鳴を やり過ごす日々



無機質を 繰り返す日々 泣き続け 衰弱するたび 増す思い



夢に見た 君とあった あの日のこと 忘れもしない 君はどうかな



会うことが 怖くて言えない まるいろ 君に合わせる 顔がないのに



憂鬱な 瞳で眺める 空調の 回転数え 頬が濡れる



すくう癌 臓器をむしばみ 比例する 身体の痛みと 心の疲労



絵をのが 好きだったけど ないや もういいやって 投げ出しても



君のこと 忘れたくない 忘れない 君が僕の



人生に 色彩をくれた 海岸で 君に言えた 蒼が似合うね



春が来た そう思えた日 君が居た 桜並木に 君のセリフ



それまでは 親にしたがう 良い息子 僕の心は 抽象画



季節の木 写生が好きで 君に見せた あの時は君を 並べて描いた



抗がん剤 吐くのは嗚咽と 決めている 弱音は吐かない また会うまでは



会いたいと 言えずに迎える 翌々日 言葉の重みに 怯えをいて



朝起きて 弱い自分に 失望する 君の未来は もう背負えない



ICU 宣告を受けた 明日あしたから 涙零れて 会いたいと叫ぶ



あと数分 待ち合わせの時 すぐ会える 話したいこと 溢れ出るけど



直前の ドアの開く音 待ち遠しい それでも君は 恋人じゃない



溢れるこえ もらったを 返す為 おとろえたのどと 発作に倒れる



目が覚める 君の面影 探してた 硝子の向こうに 君がいたから



動けない 話すことすら できない今 それでもを 追いかけていた



動けない 言葉にできない 動かない 彼岸の自分の を渡して



話したい 視覚を機器に 繋いでも 文字入力に 頼ってでも



伝えたい この思いには をつけて 伝える為に 体を粉にして



やっと来た 2度目の機会 この為に もらったを 返す為に



言えたかな 伝わってるか 心配だな それでも笑顔が 溢れてくるよ



笑ってる 君の笑顔が 大好きだ でも惜しいかな 視界が悪い



こんな時は 彼岸花ヒガンバナなんか 描いてみて 君に怒られる そんなの好きだな



君の 聞こえてるよ 泣いてるの? 呼吸器外し 笑って言うよ



嬉しいな 両思いだね よかったよ 君に贈る 最後の彩だ


大好きだ 何度でも言う 愛してた 未熟な僕 よりも幸せに

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