イエローフード ニンジャヒーローは忍ばない

ムネミツ

 イエローフード ニンジャヒーローは忍ばない

 空は青く、高層ビルが群生している街を車や人々が行き交う。


 「フ~ッ♪ 外でランチするにはピッタリ♪」


 僕はビルの屋上で、マッスルバーガーを袋から取り出し包みを開ける。


 不法侵入? 違う違う、このビルの屋上はヒーロー立ち寄り所♪


 僕がビーフ百パーセントのバーガーを口に入れようとした時、彼女と目が合った。


 「ごきげんよう、イエローフード♪ ランチよりも私と楽し事をしない?」

 「やあ、サニーガール♪ じゃあ、ご一緒させていただくよ♪」


 僕は目の前で赤いマントを翻し、空に浮いているオレンジタイツの美少女に従った。


 バーガーを急いで異空間ポケットに仕舞い、僕も空へとジャンプ。


 「フートンニンポー、風の舞っ!」


 手足と腰回りに風の流れを纏い、立った姿勢のままで空を飛んで行く僕。


 サニーガールは体を横にして飛ぶ、スーパーヒーロー飛行だ。


 日光のような金髪をなびかせ、赤いエネルギーを纏て飛んでる姿は格好良い。


 僕らが目指すゴールは中央通りの銀行、すでに入り口前はパトカーで満員だ。


 「おお、サニーガールとイエローフード♪」

 「ハ~イ、レスター警部♪ ノーマルな銀行強盗じゃなさそうね?」

 「ヴィランでしょ? 偵察して来るよニンポー、景潜り」


 夏でもスーツにトレンチコートな中年男性警部とのやり取りはサニーガールに任せた。


 僕はパトカーの影に潜る、影から影への瞬間移動で銀行に入る。


 「ヒャッハ~♪ ほらほら早くトランクに現金を入れるんだ!」

 「は、はい~っ!」


 床に倒れ込んだ警備員達に荒らされたロビー。


 受け付け机の上には白衣を着た科学者っぽい禿頭の太ったオジサン。


 両腕や背中からは機械のムカデっぽいアーム、先端が電気バチバチ。


 「ドクセンチか、気持ち悪いな」


 迷惑ヴィラン、ムカデ博士ことドクターセンチピード。


 普段はモスパイダーってヒーローに倒されてるが、今日は僕が相手だ。


 「ニンポー、トリモチスリング!」


 僕は影から飛び出し、パチンコでトリモチ弾を連続発射する!


 「何っ! 貴様は忍者小僧っ!」


 ベチャベチャとトリモチでアームの先端を封じられたドクセンチが驚く。


 「お口にチャック!」


 続けて僕が撃った唐辛子入りの赤トリモチ弾が、このムカデ博士の口に張り付く。


 叫ぶ事も自慢のアームも使えず、悶えて涙を流しながら床に倒れたドクセンチ。


 「はいはい、ニンポー、ダクト縛りの術っ!」


 僕は虚空から取り出したダクトテープで、素早くムカデ博士の手足を縛り上げた。


 アームが使えなければ、ただの迷惑なおじさんでしかない。


 「は~い、制圧完了で~~っす♪」


 僕が大声を出すと、ボディアーマーで武装したお巡りさん達がなだれ込んで来た。


 「良くやってくれたイエローフード、流石忍者♪」


 正義のトレンチコートおじさんこと、レスター警部がやって来て僕を褒めてくれた。


 「流石忍者、汚いっ!」


 サニーガールが不満をぶつける。


 「いや、君が暴れたらヴィラン以上の被害が出るからね」

 「ちょっと、この後デートしない?」

 「警察で表彰と報酬貰うから無理♪」


 汚い忍者らしく、さらりと躱す。


 翌日の朝刊には、スーパーヒロインを出し抜いて手柄を立てた僕の記事が載った。


 「いや~♪ 良い事した次の日は気分が良いなあ♪ いただきます♪」


 自宅の居間、畳敷きのワビサビルーム。


 素顔を晒し、黄色のサムエ姿でチャブテーブルの前で胡坐で座り朝食。


 テーブルの上には、今朝の新聞と朝食。


 献立は、ゴハンライスとミソスープ。


 おかずはパンプキンニモノとアジムニエル、実にワビサビでヘルシー。


 両親はすでに仕事に出かけていた。


 一人で、ハウスキーパーのヨネさんが用意してくれたご飯に手を合わせてから食べる。


 食事は大事なエネルギー、食わねばニンポーのコストである魔力が練られない。


 行儀良く食べ終えた所でカラカラと、玄関のナルコセンサーから音が響く。


 「このナルコは普通の来客用のはず、出るか?」


 僕は立ち上がり、壁のインターホンのスイッチを押す。


 「はい、イエローニンジャドージョーです? どちらさまですか?」


 画面の先に映るのは、一人の少女。


 長い金髪、目立つ額と地味な眼鏡。


 胸は大きいが服装が上下赤いジャージで、白いナップザック背負ってる。


 「ハ~イ♪ キーローさん、私の名前はデイジー・サンライトです♪」


 名乗る少女、だが彼女は無言で口を動かしサニーガール参上と言いやがった。


 「お帰り下さい、この会話はセキュリティ会社にリアルタイムで記録されてます」

 「私、ニンポーに興味がありま~す♪ 見学希望で~す♪」

 「事前にご連絡ください、本日は休日ですインターネット講座ならお得ですよ♪」


 太陽のパワーを持つヤバイ女を家に上げるわけにはいかない。


 どうやって情報を抜かれた?


 俺の情報は、父が勤務するヒーローネットワークと母が幹部をしているジャスティスニンジャクランの上層部の保護があったはずだ?


 「ネットワークの総裁は私のパパ、クランへはパパの要請で~す♪」


 超人パワーと権力の二刀流かよ!


 「わかりました、ヨーカンとグリーンチャをご用意いたします」

 「ありがとうございま~す♪」


 表の権力が高い奴には勝てないのか? 俺は屋敷にサニーガールを招いた。


 この後、僕はデイジーに対して必死のドゲザで屋敷と自分の命を守った。


 

 

 イエローフード ニンジャヒーローは忍ばない 完

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