第16話 夏の終わり
8畳の生活スペース、6畳のキッチン、風呂トイレ別の築年数が経ったアパート。ここに、ジェット団から解雇されたザリガニ怪人のザリ子は戦闘員一人と共同生活をしていたが、夏の終わりと共にアパートの暮らしも終わりを迎えようとしていた。
ザリ子は、戦闘員に手伝ってもらい、ジェット団への引っ越し準備をしているのだった。
「それ、そこの段ボールに入れて。」
「イー」
「んー・・・ここで色々あったけど、楽しかったなー。・・・あれ、誰か来た?」
「イー」
「ザリ子。手伝いにきたわよ。」
「マチコ・・・来るの遅いよ。もう、終わっちゃった。」
「あー、そっか。・・・ちょっと荷物増やしていい?」
「なんで?」
「ハイ、コレ。まだ、サンプルらしいけど。」
「んっ・・・熱風戦士サンボイラーガム、第2弾出るの?」
「裏見なさい。」
「裏ねぇ。どうせ、サンボイラーが3パターンでしょ。・・・えっ!ザリ子のフィギア、あるじゃん!」
「良かったわね。」
「しかも、私のフィギア、戦闘員もついてる。」
「イー!」
熱風戦士サンボイラーガム、フィギア入り第2弾は、ザリ子もラインナップされるのだった。良かったな、ザリ子よ!
「ざまぁ!チンパンジー2、ザリ子1になった!」
引っ越し前日の夜。二人は、いつもと変わらない日常を過ごしていた。
「何で、またそうめん作ってんのよ!私、幹部なの!ステーキ食べたい!」
「イー」
「んーと(そうめん余ってるんで、食べきりましょう)か。ヤダ!ステーキ食べたい!肉ー。肉ー。」
「イー(↓)」
「ねぇ、コンビニ行ってきて!国産和牛のムチャ高いお肉を買ってきてよ!」
「イー(↓)」
「(売ってません)って分かってるけど・・・でも、食べたいのよ!」
「イー」
「探してきてくれるのね。高貴なワタクシに、最高級肉を献上しなさい。」
「・・・イ」
「だから間を空けないでって!色々な感情がこもってそうだから!」
ザリ子の目の前で、マスクを外す戦闘員。その姿は、かなりのイケメンだったのだ。
「えっ急に・・・うそ、想像してたより、全然カッコイイかも」
「イー」
「んっ(ずっと、そばに居ますので、何でも言ってください。)・・・じゃあ、早く、コンビニ行ってよ!」
顔を真っ赤にするザリ子だったのだ。
怪人ザリ子と戦闘員 佐藤 学 @umemoto09
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