貞操観念逆転編:女性陣の奮闘

この世界について二日目、基本的にこの世界で俺はやれることがないため大人しく事務所で書類をまとめていた。

「みんなは上手くやれているだろうか。」

ぶっちゃけ心配だ。

上原さんと早瀬さんはまだ良いとして、ルシルさんはまだまだ経験不足なところがあるしな。

「せめて何事もなく今回の仕事が終わることを願うか。」




「ここが保護施設ですね!」

街から少し外れた場所で大きな壁に囲まれていますね!

無害者が入り込まないよう、他の建物より厳重な作りになっていますね!

まぁ私が入り込む上では大した問題はなさそうですが!

「さて!行きますか!」

意気揚々と乗り込もうとしたところ、施設に近づく馬車が一つ!

なんだか保護施設には合わないような豪華な装飾です!

貴族の方でも乗っているんでしょうか?

「…アレについても調べてみた方がいいかもですね!」




街についてしばらく歩き回ってみましたが、女性ばかりであるところ以外は普通の街ですね。

ただ昨日の佐久間さんが消えた騒動が影響しているのか、街の中を兵士が走り回っていますね。

さて…適当に人が多いところに入ってみる。

佐久間さん曰く『案外聞き耳立ててるだけでも有益な情報が入るかも』らしい。

人が多いところはあまり得意じゃないけれど頑張ろう。

色々な話が聞こえる。

『最近野盗の活動が盛ん』『兵団がまともに動けていない』『最近溜まっている』

………なんか下世話な話とかが多いです。

『やっぱり………なのかな。』

お?なんか興味深そうな話をしている…気がする!

話しているのは幸薄そうな女性二人組。

申し訳ございませんが少し聞き耳を立たせてもらいましょうか。




「ここですね。」

野盗が拠点としている建物の場所をやっと突き止められた。

こっそりと中を覗く。

まだまだ外は明るいと言うのに酒盛りをしているようだ。

(自分たちが襲われるなんてこれっぽっちも思っていないといった様子だ。)

建物をこっそりと登ってみる。

「都合の良いものがあってよかったです。」

見つけたものは煙突。

除いた際に暖炉があったため間違いなく彼女らがいる部屋に繋がっているだろう。

これさえあれば制圧は簡単ですね。

現世とこの世界を繋げる穴を空間に開ける。

そこからホースを取り出して煙突の中に通す。

このホースから流し込むのは催眠ガス。酔っ払いすぎたと勘違いしてそのまま寝て仕舞えば良い。

「さて、しばらく待ちますか。」




「うわぁ。」

いつもついつい語尾に!をつけてしまうが今だけはそれを忘れてしまう。

…保護施設に忍び込んで見たが…その中身はひどい有様だった。

男性は皆首輪をはめられ、まるで家畜のように扱われている。

そしてそこに婦人がやって来た。

豪華な装いである。

すると婦人は1人の男性を選び首輪を引っ張って連れて行く。

一体何をするのだろうと後をついていってみたら…扉の先から聞こえてくるのは嬌声。

これはやってますね、間違いない。

しかも施設内の至る所で女性職員が男性を連れて人気のないところに連れて行っている。

一応確認しに行ったが…まぁ同じだ。

「風紀が乱れてますねぇ…。」

確か佐久間さんが聞いて来た話だと、『男性が求めた際に女性職員が対応する』ことがあると言っていたがこれは逆だ。

女性職員がしたいときにつまみ食いしている。

そしておそらく、あの婦人のような権力者も同様にこの施設でお楽しみをしているんだろう。

…色々探ってみたが、主人公と思われるヤマダさんの所在は分からなかった。

これ以上この空間にいるのも嫌だし…そろそろ引き換えそう…。




「うっ…ここは?」

確か私らは久々に大儲けできたから昼間から飲んでいたはず…。

「お目覚めになられました?」

「あ?何者だテメェ!」

ここで気づいた。

身体が縛られて動かない。

目の前にいるのは1人の女。

横には布がかけられたテーブルがある。

昨日連れ去ろうとした男のようにみたことのない服装だ。

「ということは…転生者か。」

「ええ、貴女に聞きたいことがあるのです。」

「はぁ?なんで他所者と話なんざしなきゃいけないのよ!」

「…申し訳ございませんが…貴女が話したいか話したくないかは関係ありません。」

女は見たこともない針のようなものを私の身体に差し込んだ。

「痛っ!?てめぇ何を!?」

「ただの自白剤です。あぁ、この世界の人にはわかりませんよね。」

女はただニコニコと笑っている。

なんなんだこいつ。

「てめぇアイツの仲間か?」

転生者が急に私たちを敵対視するなんて、昨日の男に対して行ったことへの報復…それぐらいしか思い当たるものはない。

「はい、彼は私の大切な大切な同僚なんです。貴女たちが触れて良いような人ではないんですよ。」

背筋が凍るような感覚に襲われる。

表情は変わらず笑っているが、目が笑っていない。

「彼は何でもなかったように帰って来ましたが…彼は元々女性があまり得意ではないんです。そんな彼に随分と身勝手なことをしようとしたらしいですね?」

彼女が横のテーブルに被せてあった布を取る。

そこには見たことがないような刃物や鈍器が大量に置いてある。

「知りたいことを洗いざらい履いてもらって、あとは少しだけ痛めつけさせてもらいますね。大丈夫です。すぐに話せば最後の拷問時間も短く済みますよ。」

…駄目だ。

こいつには絶対敵わない。

見たことのない装いで見たことのない道具を使う女。

謎が多いコイツに敵うビジョンが何一つ浮かばない。

私は全てに大人しく従うしかなかった。




なんだかんだすっかり遅くなったな。

「ただ今戻りました。」

「ただいまです!」

「遅れてすみません。」

うお!みんな帰って来た。

「お疲れみんな。どうだった?」

表情を見るにみんな何らかの収穫があるようだ。

「とりあえず少し休んでから話そうか。」

「え?急いで情報共有したほうが…。」

「まぁまぁルシルさん、急がば回れよ。」

そう言いながら上原さんに近づく。

「お疲れ様、多分慣れないことしたでしょ。拭き取ったかもだけど血の匂いがすごいよ。」

「あら、バレてしまいましたか。」

「全く…シャワー浴びてきな?」

「そうさせてもいますね。」

そそくさとシャワー室へ向かう上原さん。

昨日野盗について話した時点で何となくこうなる気はしていたけれど…。

「上原さん。」

後ろから声をかける。

「どうかしましたか?」

「いや、ありがとうね。」

「…いいえ、本当は貴方はあんな野盗のことどうとも思っていないって分かっていたのに…私が勝手に許せなかっただけですから。」

上原さんは微笑みながらシャワー室へ向かった。

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異世界出張相談所 望餅 @NozomiMoti

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