余命宣告によって透き通っていく心

高校生にして難病を発症し、余命宣告されてしまった主人公。自分がその立場になったら、どんな気分だろうか。自分はもうすぐいなくなってしまうのか。これから痛いのかな、苦しいのかな。後悔しないために何をすればいいのか、でも病気に苦しむ姿をあの人にだけは見せたくない。少しでも一緒にいたいけど、自分がいなくなった後あの人を余計に苦しめることになるのかな……。
主人公は苦悩しながら、日々選び取っていく。これをしておこう、ああなるのは嫌だ。読み手として「それでいいの?」と問いたくなるときも。だがそうして過ごすうち、主人公は自分の素直な気持ちが見えてきて……。混じり気のない「私はこうしたい」の美しさに、胸を打たれる。貴重な青春時代の一瞬のきらめきと、純粋な感情を思い出させてくれる物語。