最終話 彼氏と男装
「それで、俺はなんでお前が学生時代に着てた制服を着せられてるんだ?」
「……」
//呆れるように
「僕もセーラー服着せられてるんだから当たり前だろって……まあそりゃそうだけどさ」
「え、可愛過ぎる?」
「男装してるのに『可愛い』って表現正しいのか?」
「まあ喜んでくれてるならいいけどさ」
「なんか男装したら心まで男になったような気がしてきた」
「いやまあ普段から男みたいな話し方なんだけどさ」
「おまえは女装してみて心まで女の子になったりはしてねぇのか?」
「ちょっとだけ……じゃねぇよ! やめてくれよ⁉︎ 俺の彼氏なのに変な趣味に目覚めるのは⁉︎」
「え? じゃあメイクなんてするなって?」
「それはまあ…‥ごもっともですけども」
「……」
//SE 聞き手に近づく足音
『可愛すぎてかぶりつきたいくらいだぜ。子猫ちゃんっ』
//耳元で囁くように
「ははっ、ビックリしすぎだろ」
「え、何やってんだよって?」
「せっかく男装したんだし、ナルシストみたくキザなセリフ言ってやろうかと思って」
「俺はタダでは転ばない女だからな」
『一眼見た時から思ってたんだぜ。君が運命の子猫ちゃんだってな』
//耳元で囁くように
「はははっ。男のフリして喋るのもなかなか面白いな」
「……」
『俺がお前の唇、奪ってやるよ』
//SE 壁ドンの音
「……」
//見つめ合う
「ちょ、やめろってそのときめいた顔」
「もっといじめたくなっちまうだろ」
「最初は男装とか何言ってんだコイツって思ったけど、結構楽しんじまったぜ」
「何事も経験だな」
「それにしてもおまえ本当に優しいよな」
「もし仮におまえが女だったとしても、性別なんて関係なく好きになってたかもしんねぇな」
「まあ流石に同性となれば叶わぬ恋だっただろうけどさ。おまえが男でよかったぞ」
「え、僕が女でも君が男でも、きっと僕も君のことが好きになってたと思う?」
「な、なんだよそれぇ……。そんなこと言われたって何も出ねぇからなぁ」
「ほ、ほら、俺が男装したんだからもう物足りない部分はねぇだろ? 早く写真撮ろうぜ」
「ほら、撮るぞ。もっと寄って寄って。はいチー--⁉︎」
//SE 激しく抱き寄せキスする音
「ぷはっ。な、何すんだよおまえ⁉︎」
「え、さっきは君にキスされたから今度は僕から?」
「そ、そんなお返しいらねぇよ!」
「は? 女の子が男の子に無理矢理キスするシチュエーション、君好きそうだなと思って?」
「確かに好きですけど? 好きですけどもぉ⁉︎」
「将来さ、俺たちの子供が大きくなって家族みんなでメイクなんかしたら面白そうだよな」
「え、結婚して子供作るとこまで考えてるのか?」
「な、な、なしなし! 今のなし! 忘れてくれぇ!
「忘れないよーじゃねぇよ! あーもうこれから会うたびおまえのこと絶対絶対ぜーったいメイクしてめっちゃ可愛くしてやるからなぁーー!」
//SE 走り回り追いかける音
付き合いたての俺っ子彼女にメイク(だけじゃない)される 穂村大樹(ほむら だいじゅ) @homhom_d
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます