枝の音符 🪺

上月くるを

枝の音符 🪺





囀や枝に音符を置くごとし

ぢゆぢゆぢゆぢゆと少し濁りて囀りぬ


小夜曲ひとり聴きゐる緑の夜

亀鳴くや絵の女われを見つめをり


夏夕べ幼のピアノ猫ふんじやつた

エリーゼに捧げるメロディ夏の月


シャーペンの芯のでこでこ扇風機

司書問へる「お探しですか」冷房音


屋上にドクターヘリや夏の雲

形あるものみなむなし蝉時雨


駅前のガールズバンド秋うらら

笙あぶる烏帽子の楽人良夜かな


改札に子らを迎へる秋日和

子ら帰る家は都会や秋の声


室町の星見るふしぎ虫集く

山頂の野外ライブや星月夜


孤立せぬ孤独のなごみ草雲雀

かさかさと枯葉の客や風の舟


大寒の深夜ラジオに能を聴く

レコードの軋めるジャズや冬深し




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