海の街③

トライデンの街では、海鮮が美味しいらしい。


なので


花「美味しい!!」


今現在の私は、美味しい海鮮(イカ焼き)を食べていた。


花「私、てっきりイカを食べないのかと思ってました!!」

リーナ「それは内陸の人間だけ。この街ではイカを食べるのに抵抗は無いんだ」


そう言った後、イカ焼きを食べるリーナさん。


花「そうなんですか?」

リーナ「えぇ、内陸の人間はイカのことを悪魔だって信じてる節があるからね」

花「あ〜」


リーナさんの話を聞き、そう言葉を漏らす私。


そういえば......私の世界でも、どこかの国ではタコ=悪魔って国があったような。


リーナ「それに、内陸に流通しているイカは干物メインだから、干物と生のイカを別物だって考えている人もいるのよ」

花「はぇ〜......そうなんですね」


何か、貴重な話を聞いちゃったな。


そう思いながら、イカを食べ終わる私。


リーナ「でも、ハナって内陸の人間なのにイカに抵抗感を抱かないなんて.......凄いよね」

花「あ、アハハハ.......」


私の世界.....というか、私の故郷の国では、割とポピュラーな食べ物だからなぁ。


リーナ「ま、それはいいとして......次はどこに行きたい?」

花「えっとですね.......」


私がそう言いかけた時、リーナさんは何かに気がついたのか


リーナ「あ!!」


と叫んだ後、スッと立ち上がった。


花「リーナさん?」

リーナ「私、大事な用事があるのをすっかり忘れてた!!」

花「えぇ!?」


大事な用事!?


花「な、何かすみません.......」

リーナ「何言ってんの!!悪いのは用事を忘れた私!!あなたは全然悪くないから!!」

花「で、でも.......」


私がそう言いかけると、リーナさんは自分が持っていたイカ焼きを手渡すと


リーナ「それに.....あなたと街を歩けて、とっても楽しかった。だって、この街のことを案内するのは、久々だったもの」


ニッと笑いながら、そう言った。


花「リーナさん.......」

リーナ「それじゃあ、私はこれで....」


リーナさんはそう言うと、どこかへ行ってしまったのだった。


花「......」


......リーナさん、とっても優しくて、綺麗だったな。


やっぱり、海の街の人って、綺麗なのかな?


そう思いながら、イカ焼きを食べていると


トライデンの住人1「おい、聞いたか?マリーナ様の話」

トライデンの住人2「聞いた聞いた!!これから社交界デビューをするんだろう?もうそんな時期なのか〜」

トライデンの住人3「社交界デビューを機に、いい人が見つかればいいな」

トライデンの住人4「まぁ、マリーナ様は伯爵様の娘だから、きっと良い人が見つかるだろ」


という会話が聞こえてきた。


花「マリーナ.......」


その人が、トライデン伯爵の娘なのかな?


花「.....どんな人なんだろう?」


そう思いながら、伯爵の元に向かう私なのだった。

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宮廷裁縫師ハナ〜ミシンが紡ぐ異世界裁縫物語〜 @marumarumarumori

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