サイン色紙

勝利だギューちゃん

第1話

「どうするんだよ、これ」


ある雨の日、僕は途方にくれていた。


部屋に大量にサイン色紙がある。

100枚はあるかな・・・

しかも、同じ人からもらったサイン色紙。


芸能人でも、スポーツ選手でも、作家でもない。

一般人のサイン色紙。


「お願い。これだけサイン書いて」

「私、有名人じゃないよ。なんでそんなこと言うの」

「学園のアイドルだったでしょ?」

「私をそう思っていたのは、君だけだよ」

「書いてくれた数だけ、配るから」

「ダメ」


高校の時に、好きだった女の子。

でも、恋とは違う。

アイドルを好きなる感覚。

それに近い。


今でいう、推し。

「推しはみんなののもの」

その通り、独り占めにする気はなかった。


だが、サインをもらったのは、ささやかな抵抗だった。


「じゃあ、誰にも配らず、君だけがとっておいてくれるのなら書いてあげる」

「それでいい」


こうして、50枚渡した。

そしたら、数日後に全部にサインをして、返してくれた。


今にして思えば、淡い気持ちはあったのだろう。

だが、数年も経つと・・・


「あれ?よく見ると・・・」

サインの下に、小さく文字が書いてある。

アルファベット?


1枚目から、50枚目まで・・・


繋げてみよう。

何て書いてあるのだろう?


"There's always blue sky above the clouds"


雨は止んでいた。

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サイン色紙 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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